バロー岬とは? わかりやすく解説

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バロー‐みさき【バロー岬】


ポイント・バロー

(バロー岬 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 16:34 UTC 版)

ポイント・バロー(バロー岬)

ヌヴク
アメリカ合衆国最北端
ポイント・バロー(バロー岬)
アラスカ州内の位置
北緯71度23分20秒 西経156度28分45秒 / 北緯71.38889度 西経156.47917度 / 71.38889; -156.47917
アメリカ合衆国
 アラスカ州
ノーススロープ郡
等時帯 UTC-9 (アラスカ標準時 (AKST))
 • 夏時間 UTC-8 (AKDT)

ポイント・バロー、ないし、バロー岬(バローみさき、Point Barrow)、あるいは、ヌヴク (Nuvuk) は、アメリカ合衆国アラスカ州北極海岸に位置する岬で、バローの集落から北東へおよそ9マイル(およそ14km)にある。当地はアメリカ合衆国最北端の地である( 北緯71度23分20秒 西経156度28分45秒 / 北緯71.38889度 西経156.47917度 / 71.38889; -156.47917 (Point Barrow)座標: 北緯71度23分20秒 西経156度28分45秒 / 北緯71.38889度 西経156.47917度 / 71.38889; -156.47917 (Point Barrow))。北極点までの距離は1122海里(1,291マイル、2,078 km)である。ちなみに、カナダ領の北アメリカ大陸の最北端は、さらに緯度にしておよそ40マイル(およそ64km)北に位置するマーチソン・プロモントリー (Murchison Promontory) である。

ポイント・バローは、重要なランドマークでもあり、北極海において、西側のチュクチ海と東側のボーフォート海の境界となっており、これより北側は(北極点まで境界の目標となるものはなく)地図の縁で区切られるばかりである。

歴史

先史時代

考古学的な証拠によれば、ポイント・バローには、先住民イヌピアットの先祖にあたる人々が、ヨーロッパ人の到着よりも千年ほど前から住んでいたとされる。岬は重要な考古学調査の現場となっており、ウルやボーラなど、トゥーリー文化 (Thule culture) と結びつけられる埋葬地の跡や遺物が発見されている。岬の沖合の海域は、ホッキョククジラの回遊ルートの一部となっており、当地に集落が形成されたのは、鯨漁をやり易くするためであったものと推測されている[1]。近傍のバーナーク・サイト (Birnirk Site) には1912年に当地で発掘調査を行ったヴィルヤルマー・ステファンソン (Vilhjalmur Stefansson) によって確認された墳丘墓があり、初期のバーナーク文化 (Birnirk culture) と結びつけられている[2]

ヨーロッパ人による探検

ウィルキンス=デトロイト北極遠征

この岬の名付けは、1826年イングランドの探検家フレデリック・ウィリアム・ビーチー (Frederick William Beechey) が行なったもので、由来となったのは、政治家で、イギリス海軍本部所属の地理学者であったサージョン・バロー (Sir John Barrow) であった。岬周辺の海は、(現在では)通常は年に2-3ヵ月の着氷しない時期があるが、初期の探検家たちの時代にはそういうことはなかった。ビーチーは船では当地へ到達できず、本船からボートを出して先へ進んだ。1826年にはジョン・フランクリンが東側から当地へ到達しようと試みたが、行手を氷に阻まれた。1837年には、東側から進んだトマス・シンプソンが、ボートの前進が氷に阻まれた地点から、徒歩でおよそ50マイル(およそ80km)を西へ進に、ポイント・バローに到達した。1849年にはウィリアム・プレン (William Pullen) が2隻の捕鯨船で岬にたどり着いたが、これは、氷のためにその手前でより大きな2隻の船を西へ帰した上でのことであった。

ウィルキンス=デトロイト北極遠征隊 (Wilkins-Detroit Arctic Expedition) をはじめ、北極点をめざす北極探検家の多くが、ポイント・バローを出発点に選び、1928年4月15日にはカール・イールソンとヒューバート・ウィルキンス (Hubert Wilkins) が、ポイント・バローを発って北極海を横断し、スピッツベルゲン島までの飛行に成功した。

1935年8月15日に飛行機墜落事故で、操縦士ウィリー・ポストと、乗客の芸人ウィル・ロジャースが事故死した場所であるロジャース・ポスト・サイト (Rogers-Post Site) は、この岬の近くである。

1965年から1972年まで、当地は、観測ロケットナイキ・ケイジャン」と「ナイキ・アパッチ」の発射地として使用された。また、全球大気監視計画の待機観測局が置かれている。

「ポント・バローの鯨 (Point Barrow whales)」と称されるのは、1988年にポイント・バローで、氷に閉じ込められてしまい、全米から注目を集めた鯨たちである[3]

ポイント・バローの先端部を捉えたパノラマ画像。

脚注

  1. ^ BBC NEWS - Bodies point to Alaska's past
  2. ^ Archaeology of Prehistoric Native America By Guy E. Gibbon, Kenneth M. Ames
  3. ^ Mauer, Richard (1988年10月18日). “Unlikely Allies Rush to Free 3 Whales”. New York Times. http://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?res=940DE4DF153DF93BA25753C1A96E948260 2008年6月12日閲覧。 

関連項目

外部リンク


バロー岬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 05:27 UTC 版)

ウトキアグヴィク」の記事における「バロー岬」の解説

ウトキアグヴィク市から北東には砂嘴伸びており、15㎞先の最北端・バロー岬が西のチュクチ海と東のビューフォート海分け地点となっている。ウトキアグヴィクから南東方向へは500kmにわたる砂浜海岸延び海流影響によりそのうち200kmでは連続した砂州形成されている。東のビューフォート海面する海岸地形が複雑であり、海流及ばないため、砂州はもちろん、砂浜海岸目立たない詳細は「ポイント・バロー」を参照 ウトキアグヴィク市街地から北東15km位置するバロー岬は北緯7123西経15630分 / 北緯71.383度 西経156.500度 / 71.383; -156.500 (バロー岬)に位置するアメリカ合衆国最北端の岬である。北極海突き出るこの岬の周囲海水は、1年のうち夏の2-3ヶ月除き、ほとんど氷に閉ざされている。 バロー岬には北極探検基地がよく置かれた。また、行方不明になってしまった探検家たちを探す捜索隊もバロー岬に捜索基地を置くことが多かった1965年から1972年にかけては、バロー岬でナイキ・ケイジャンナイキ・アパッチという科学観測ロケット打ち上げられた。また、バロー岬には、世界環境監視局Global Atmosphere Watch)が観測拠点置いている。

※この「バロー岬」の解説は、「ウトキアグヴィク」の解説の一部です。
「バロー岬」を含む「ウトキアグヴィク」の記事については、「ウトキアグヴィク」の概要を参照ください。

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