バレエダンサーのヒエラルキーとその条件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/25 23:48 UTC 版)
「バレエダンサー」の記事における「バレエダンサーのヒエラルキーとその条件」の解説
バレエダンサーの「役がら」や、その「花形」度、その条件や制約について解説する。 「プロのバレエダンサー」と言っても、ずっと脇役ばかりを踊りつづけてそのままキャリアを終えてゆく人もいれば、次第に能力や努力を認められて重要な役を踊るようになってゆく人もいる。特に女性の主役級のバレエダンサーを「プリマ・バレエダンサー」や「プリマ・バレリーナ(伊: prima ballerina)」、略して「プリマ」 (伊: prima)などと呼ぶ。男性のバレエダンサーでは、「王子様」役を踊る人が、女性の「プリマ」のように花形であり、注目を浴びる存在であり、フランス語では「danseur noble ダンスール・ノーブル」と言う。 男性のバレエダンサーで、パ・ド・ドゥを踊るような主役級の人は、女性のバレエダンサーの「リフト」(持ち上げること)をしなければならないので、それだけの「力」が必要とされ、腕力が十分にあることも求められる。また主役級の男性バレエダンサーは背が高いことも求められる。ダンスール・ノーブルのとなりに女性バレエダンサーがトゥシューズを履いて「つま先立ち」をして並んで立つので、『「つま先立ち」をした女性と並んでも女性よりも背が高いこと』つまりかなり背が高いことが王子役のダンサーには求められるのである。 他方、女性のバレエダンサーで主役級の人はリフトされなければならないので、体重が軽い必要があり、(一般に、大柄な女性はなることがかなり困難で、一般論として言えば比較的小柄で、手足の長さは人によってそれなりに異なるとしても)ともかく体重は絶対に軽くなければならないので、結果として、いかにもバレリーナらしい「痩せた体型」を維持しつづけなければならず、もしも太ったりすると重いので、男性ダンサーは(実際、そうしたバレリーナを無理してリフトすると身体を壊してしまうので)「あの女性はリフト困難」などと(監督やプロデューサーなどに)苦情を伝えることになり、そうなるとそのバレリーナはバレエ団幹部などから「主役からの降格」「プリマからの降格」を伝えられることになる。 なお、バレエという芸術では、「お姫様」役や「王子様」役だけが重要なわけではなく、その敵役(かたきやく)も重要である。ちょうど演劇・ドラマなどでも、敵役がいて敵役が手ごわければ手ごわいほどストーリーが盛り上がるようなものである。バレエの敵役は「顔立ちの美しさ」「(男性の)背の高さ」などの制約も少なく、ほぼ純粋にバレエの技術自体で判断されて採用される傾向がある。敵役を担う男性ダンサーの中には「超人的」と言ってもよいようなジャンプ力やスタミナやバレエ・テクニックを持ち、「王子様」役のダンサー(つまり、ややもすると外見重視で選ばれてしまう傾向があるダンサー)を超えて観客を魅了する人もおり、バレエ観賞歴が長い観客や、バレエに対する理解の深い観客、いわゆる「通(つう)」の観客たちは、「王子様」や「お姫様」役だけでなく、こうした名脇役に注目して観賞している人も多く、こうしたダンサーも大きな拍手喝采を浴びることになり、相当に名誉ある位置づけがされている。
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