バナッハ空間における補空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/13 17:34 UTC 版)
「補空間」の記事における「バナッハ空間における補空間」の解説
V は(有限または無限次元の)完備なノルム空間、すなわちバナッハ空間とし、U をその閉部分空間で補空間 W を持つものとする。すると V と U ⊕ W の代数的な意味での線型同型 U ⊕ W → V; (u, w) ↦ u + w を通じて、位相的な意味での線型同型(つまり、連続かつ逆写像も連続となるような線型同型)が定まる。 バナッハ空間において、閉部分空間は常に補空間を持つが、それは閉補空間を見つけることができるということを意味しない。それはむしろヒルベルト空間の持つ位相線型空間構造を特徴付ける性質である(ジョラム・リンデンシュトラウス(英語版)とLior Tzafririの定理による): 定理 (Lindenstrauss–Tzafriri) バナッハ空間が適当なヒルベルト空間に同型となるための必要十分条件は、その任意の閉部分空間が閉補空間を持つことである。 補空間の存在性については、次の Sobczyk の定理 が利用できる: 定理 (Sobczyk) 可分なバナッハ空間の数列空間 c0 に同型な部分空間は常に閉補空間を持つ。 しかし、可分とは限らない場合にはこの主張は真とは言えない(実際、c0 を ℓ∞ の部分空間と見たときには、閉補空間は存在しない)。
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