ノンコーディングRNA技術の研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 04:29 UTC 版)
「ダウン症候群」の記事における「ノンコーディングRNA技術の研究」の解説
ノンコーディングRNAを用いてダウン症の1本多い染色体の機能を停止させ、出生後にダウン症の治療を行おうとする基礎的研究が行われている。性別を決める染色体で働いているノンコーディングRNAの「Xist」は、X染色体の不活性化というX染色体の活動を止めて、問題を避ける仕組みを持っていることが分かっていた。「Nature」に掲載されたマサチューセッツ大学の研究では、ダウン症患者から採取し培養されたiPS細胞に対し、21番染色体の1本にXist遺伝子を組み込んで、遺伝子の発現を誘導する薬を加えたところ、約3週間後に全10個の遺伝子が発現しなくなった。また、ゲノム全体の遺伝子発現量解析により、3本ある21番染色体の発現量が平均で15 - 20パーセント程度低下し、トリソミーではない21番染色体の総発現量と同程度にまで抑制されることが分かった。さらに、Xistがダウン症によって低下した細胞を増殖する機能を回復し、神経細胞に分化する機能も正常細胞並みに戻すことも確認された。この方法の長所は、一度Xistを組み込んでしまえば、あとは発現させるだけで100パーセントに近い抑制効果が得られ、13番や18番の染色体異常などにも応用できる可能性がある点であるとされる。また、培養細胞での基礎研究段階であるが臨床試験の開始が望まれている。
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