ド・ブロイの物質波とそれが満たすべき波動方程式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/13 22:10 UTC 版)
「前期量子論」の記事における「ド・ブロイの物質波とそれが満たすべき波動方程式」の解説
アインシュタインらによって、光電効果やコンプトン効果などを説明するにあたっては、波動現象であるはずの電磁波は、なぜかエネルギーと運動量を持つと考えざるを得ないことが明らかにされた。このとき、振動数 ν の電磁波のエネルギー E と運動量 p は E = h ν , p = h ν c {\displaystyle E=h\nu ,~p={\frac {h\nu }{c}}} で定義される。エネルギーはともかく物体に対して運動量を与えるものは波動ではなくニュートン力学的な質点を持つもの(粒子)でなくてはならない。このような運動量やエネルギーのような物理量を媒介するものとしての電磁波(光)を光量子(または光子)と呼び、これら物理量を媒介すると考える場合は波動ではなく粒子として扱われる。 一方、このアインシュタインらの仕事に影響を受けていたルイ・ド・ブロイは、電磁波(光)が電磁気学的な波動性質とともにニュートン力学的な質点(粒子)としての性質を持つという二重性が、電磁波(光)だけではなく電子(electron)のような粒子に対しても成り立つのではないか、すなわち粒子である電子に対して波長と振動数が定義でき波動としての振る舞いをするのではないかというド・ブロイ波(物質波)の考え方を提案した(1924〜25年)。この考え方は電子線について実証された。 以上から電子のような粒子については、粒子であるにも関わらず電磁気学的な波動の性質も示すことがわかった。しかしながら、電磁気学的な波動である電磁波であればその波長と振動数はマックスウェル方程式から導かれるが、電子のような粒子についてはその波長と振動数はマックスウェル方程式から導かれるわけではない。そのため、なにか電子のような粒子の電磁気学的な波動現象を記述する波動方程式が存在するのではないか考えられた。エルヴィン・シュレーディンガーは、ド・ブロイ波が一体何の電磁気学的な波動現象であるのかということは置いて、その波長と振動数が導きだされる方程式(シュレディンガー方程式)を波動方程式から発見的に導きだした。 詳細は「量子力学」を参照
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