ドイチェ・フースバルマイスターシャフト1943-1944とは? わかりやすく解説

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ドイチェ・フースバルマイスターシャフト1943-1944

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/22 06:24 UTC 版)

Deutsche Fußballmeisterschaft
シーズン 1943-1944
優勝 ドレスナーSCドイツ語版
(2回目)
試合数 33
ゴール数 185 (1試合平均5.61)
得点王 ヘルムート・シェーン
(14点)
1942-1943
1944-1945

ドイチェ・フースバルマイスターシャフト 1943-1944は、ドイツ国で開催された第37回目のサッカー全国大会である。ドレスナーSCドイツ語版が連覇し、2回目のドイチャー・フースバルマイスターの座に就いた[1][2][3]

概要

ドイチェ・マイスターシャフト1943-1944は何とか完結したものの、多大な困難が伴った。第二次世界大戦に起因する劣悪な交通事情、徴兵による選手不足、物資欠乏による用具不足、激化する空襲により、正常な大会運営はますます難しくなっていた[4]。多数のクラブがシーズン途中にリタイアし、順位表から削除されて当該対戦結果が無効化された。いくつかのガウリーガではすべての試合が消化されず、グループ勝者・大管区王者が決まった後でまたやり直される、という混乱も発生した。

大会方式を簡略化するため、多くのスポーツ地域がさらに小さな地域に細分化された。ズュートハノーファー=ブランシュヴァイクとヴェーザー=エムスから、さらにオストハノーファーが分割。ズデーテンラントからベーメン=メーレンを分割、これにてスポーツ地域とガウリーガの数は過去最大の31まで増えた。

かかる多大な困難・混乱にもかかわらず本大会は最後まで行われたが、しかしカップ戦のチャマーポカール1944ドイツ語版は本大会前に打ち切られている。

第二次大戦期最後のドイチャーマイスターはドレスデナーSC、決勝では空軍クラブのLSVハンブルクドイツ語版に4-0で完勝し、昨季に続く連覇でドイツ王座を防衛した[5]。LSVハンブルクは、第二次大戦中に創設され台頭した軍隊系クラブの典型だった。1942年創設でガウリーガ参加もつい最近でありながら、チャマーポカール1943に優勝し、DM決勝にも進出した。そのレギュラークラスは徴兵によって入団した有力選手、いわゆるクリークスガストシュピーラードイツ語版で占められていた。

また、ベスト4の一角にガウリーガ・ポンメルン王者の陸軍系クラブ、HSVグロース・ボルンドイツ語版が食い込んだ。このクラブはHSVフベルトゥス・コルベルクの移動によってできたのだが、当初はシュトルプシュテティーンのクラブの陰に隠れていたので、この大会でポンメルン勢史上最高成績を残したのは、意外な事だった。

出場クラブ[2]

クラブ 出場資格
VfBケーニヒスベルクドイツ語版 → ガウリーガ・オストプロイセン1943-1944優勝
ヘーレスSVグロース・ボルンドイツ語版 → ガウリーガ・ポンメルン1943-1944優勝
ヘルタBSC → ガウリーガ・ベルリン=ブランデンブルク1943-1944優勝
ゲルマニア・ケーニヒスヒュッテドイツ語版 → ガウリーガ・オーバーシュレージエン1943-1944優勝
STCヒルシュベルクドイツ語版 → ガウリーガ・ニーダーシュレージエン1943-1944優勝
ドレスナーSCドイツ語版 → ガウリーガ・ザクセン1943-1944優勝
SVデッサウ05ドイツ語版 → ガウリーガ・ミッテ1943-1944優勝
ホルシュタイン・キール → ガウリーガ・シュレースヴィヒ=ホルシュタイン1943-1944優勝
ルフトヴァッフェンSVハンブルクドイツ語版 → ガウリーガ・ハンブルク1943-1944優勝
ルフトヴァッフェンSVレーリクドイツ語版 → ガウリーガ・メクレンブルク1943-1944優勝
ヴィルヘルムスハーフェン05ドイツ語版 → ガウリーガ・ヴェーザー=エムス1943-1944優勝
ヴェーアマハトSVツェレドイツ語版 → ガウリーガ・オストハノーファー1943-1944優勝
アイントラハト・ブラウンシュヴァイク → ガウリーガ・ズュートハノファー=ブラウンシュヴァイク1943-1944優勝
FCシャルケ04 → ガウリーガ・ヴェストファーレン1943-1944優勝
KSGドイツ語版 デュイスブルガーSpVドイツ語版/TuSデュイスブルク48/99ドイツ語版 → ガウリーガ・ニーダーライン1943-1944優勝
KSGドイツ語版 VfLケルン1899ドイツ語版/SpVggシュルツ → ガウリーガ・ケルン=アーヘン1943-1944優勝
ボルシア・フルダドイツ語版 → ガウリーガ・クールヘッセン1943-1944優勝
TuSノイエンドルフ → ガウリーガ・モーゼルラント1943-1944優勝
キッカース・オッフェンバッハ → ガウリーガ・ヘッセン=ナッサオ1943-1944優勝
KSGドイツ語版 FVザールブリュッケン/SCアルテンカッセルドイツ語版 → ガウリーガ・ヴェストマルク1943-1944優勝
VfRマンハイムドイツ語版 → ガウリーガ・バーデン1943-1944優勝
FCミュールハウゼン93 → ガウリーガ・エルザス1943-1944優勝
1.ゲッピンガーSVドイツ語版 → ガウリーガ・ヴュルテンブルク1943-1944優勝
1.FCニュルンベルク → ガウリーガ・ノルトバイエルン1943-1944優勝
FCバイエルン・ミュンヘン → ガウリーガ・ズュートバイエルン1943-1944優勝
NSTGブリュックスドイツ語版 → ガウリーガ・ズデーテンラント1943-1944優勝
ミリテールSVブリュンドイツ語版 → ガウリーガ・ベーメン=メーレン1943-1944優勝
ファースト・ヴィエナFC1894 → ガウリーガ・ドナオ=アルペンラント1943-1944優勝
ルフトヴァッフェンSVダンツィヒドイツ語版 → ガウリーガ・ダンツィヒ=ヴェストプロイセン1943-1944優勝
BSGSDWポーゼンドイツ語版 → ガウリーガ・ヴァルテラント1943-1944優勝
LSVメルダース・クラカオドイツ語版 → ガウリーガ・ゲネラールガヴァメント1943-1944優勝

一回戦

チーム #1 スコア チーム #2
1944年4月16日[6]
LSVダンツィヒ 0–0 ヘルタBSC
HSVグロース・ボルン 6–4 LSVレリック
STCヒルシュベルク 7–0 SDWポーゼン
ドレスデナーSC 9–2 ゲルマニア・ケーニヒスヒュッテ
LSVハンブルク 4–0 WSVツェレ
アイントラハト・ブラウンシュヴァイク 1–2 ヴィルヘルムスハーフェン05
FCシャルケ04 5–0 TuSノイエンドルフ
KSGケルン=シュルツ 0–2 KSGデュースブルク
FCミュールハウゼン 4–2 キッカース・オッフェンバッハ
1.ゲッピンガーSV 3–5 KSGザールブリュッケン
VfRマンハイム 2–1 FCバイエルン・ミュンヘン
NSTGブリュックス 0–8 1.FCニュルンベルク
MSVブリュン 3–6 ファースト・ヴィエナFC1894
SVデッサオ05 2–3 ホルシュタイン・キール
LSVメルダース・クラカオ 1–4 VfBケーニヒスベルク

再試合

チーム #1 スコア チーム #2
1944年4月23日
ヘルタBSC 7–1 LSVダンツィヒ

ラウンドオブ16

会場:フリートレンダー・トーアプラッツ (ケーニヒスベルク)、プラター・シュタディオン (ヴィーン)、シュタディオン・アム・ゲズントブルネン (ベルリン)、シュタデイオン・ヨハンニサウ (フルダ)、マリーネシュポルトプラッツ (ヴィルヘルムスハーフェン)、ヴェダオシュタディオン (デュースブルク)、シュタディオン・キーゼルフメス (ザールブリュッケン)、シュテーティッシェス・シュタディオン (ニュルンベルク)、シュタディオン・ホーエルフト (ハンブルク)

チーム #1 スコア チーム #2
1944年5月7日[7]
VfBケーニヒスベルク 3–10 HSVグロース・ボルン
ファースト・ヴィエナFC 5–0 STCヒルシュベルク
ヘルタBSC 4–2 ホルシュタイン・キール
ボルシア・フルダ 2–9 ドレスナーSC
ヴィルヘルムスハーフェン 1–1 LSVハンブルク
KSGデュースブルク 2–1 FCシャルケ04
KSGザールブリュッケン 5–3 FCミュールハオゼン93
1.FCニュルンベルク 3–2 VfRマンハイム

再試合

会場:マリーネシュポルトプラッツ

チーム #1 スコア チーム #2
1944年5月14日
LSVハンブルク 4–2 ヴィルヘルムスハーフェン05

準々決勝

会場:リヒャルト=リンデマン=シュポルトプラッツ (シュテティーン)、シュタディオン・ホーエルフト (ハンブルク)、シュタディオン・キーゼルフメス (ザールブリュッケン)、シュタディオン・アム・オストラゲヘーゲ (ドレスデン)

チーム #1 スコア チーム #2
1944年5月21日[8]
ドレスデナーSC 3–2 ファースト・ヴィエナFC1894
KSGザールブリュッケン 1–5 1.FCニュルンベルク
HSVグロース・ボルン 3–2 ヘルタBSC
LSVハンブルク 3–0 KSGデュイスブルク

準決勝

LSVハンブルク 3 – 2 HSVグロース・ボルン
Mühle  7分30分
Gornick  19分
レポート プレーナー  59分
ゾルト  63分 (pen.)
ヒンデンブルク=カンプフバーン, ハノーファー
観客数: 20,000
主審: Raspel

ドレスナーSC 3 – 1 1.FCニュルンベルク
Voigtmann  4分
Machate  26分
シェーン  73分 (pen.)
レポート Hettner  44分 (pen.)
ミッテルドイチェ・ランデスカンプフバーン, エアフルト
観客数: 35,000
主審: Multer

三位決定戦

1.FCニュルンベルク 中止 HSVグロース・ボルン

決勝

ドレスデナーSC 4 – 0 LSVハンブルク
フォイクトマン  20分
シャッファー  50分85分
シェーン  60分
レポート
観客数: 70,000人
主審: ペーター・トロンペッター (ケルンミュールハイムドイツ語版)
ドレスナーSC
  ヴィリバルト・クレースドイツ語版
  ハインツ・ヘンペルドイツ語版
  フリッツ・ベーグラードイツ語版
  ヘルムート・シューバート (サッカー選手)ドイツ語版
  ヴァルター・ジューアドイツ語版
  ルディ・フォイクトマンドイツ語版
  ヘルムート・シェーン
  [注 1] ハインリヒ・シャファードイツ語版
  ヘアバート・ポール (サッカー選手)ドイツ語版
  フリッツ・マーヒャテドイツ語版
  リヒャート・ホフマンドイツ語版
監督
ゲオーク・ケーラードイツ語版
LSVハンブルク
  ヴィリー・ユーリゼンドイツ語版
  ラインホルト・ミュンツェンベアクドイツ語版
  カール・ミュラー (サッカー選手)ドイツ語版
  ハインリヒ・ゲアトナードイツ語版
  ヴァルター・オクスドイツ語版
  ハインツ・ミューレドイツ語版
  ローバート・ゲープハートドイツ語版
  フリッツ・ツァーンドイツ語版
  ヤーコプ・ロッツドイツ語版
  ルートヴィヒ・ヤンダドイツ語版
  ヴィリ・ゴーニックドイツ語版
監督
カール・ヘーガー (サッカー選手)ドイツ語版

第三帝国最後のドイチェ・マイスターシャフト決勝戦は、連覇を狙うドレスデナーSCと空軍クラブのルフトヴァッフェンSVハンブルクが対戦し、大方の予想通り王者が4-0で圧勝した[5]。大戦末期最強であったドレスナーは技術的に完成され成熟したサッカーを見せ、対するLSVハンブルクはフィジカルと闘志で対抗した。全体的に、ドレスデナー攻撃陣の華麗かつ連続的な動きが目立つゲームであり、多数の決定機創出は特に後半の3ゴールで報われた。65000または70000人の観衆の期待は満たされた。彼らは90分間白熱したハイクオリティな戦いを目撃したからである。

前半19分にはドレスナーのクレバーな右ウイングFWルディ・フォイクトマンが先制点を決め、彼は50分に追加点もマークしている[9] 。61分、スコアを3-0とする得点を決めたのはヘルムート・シェーン。ここで試合は実質的に決まってしまったが、終了五分前にハインリヒ・シャッファーが更なる駄目押しゴール。そしてペーター・トロンペッター主審の長い笛とともに、ドレスデナーSCが連覇を決めた[10]

脚注

注釈

  1. ^ ベーメン・メーレン保護領の選手。

出典

  1. ^ Dinant Abbink (2023年4月27日). “Germany - Championships 1902-1945” (英語). RSSSF. 2025年2月5日閲覧。
  2. ^ a b Germany 1943/44” (英語). RSSSF. 2025年2月5日閲覧。
  3. ^ Deutsche Meisterschaft 1943/1944 » Finale” (ドイツ語). weltfussbal.de. 2025年2月5日閲覧。
  4. ^ リヒテンベルガー/秋吉 2005, 148頁
  5. ^ a b リヒテンベルガー/秋吉 2005, 150頁
  6. ^ German championship 1944 – First round (ドイツ語) Weltfussball.de, accessed: 25 December 2015
  7. ^ German championship 1944 – Round of sixteen (ドイツ語) Weltfussball.de, accessed: 25 December 2015
  8. ^ German championship 1944 – Quarter finals (ドイツ語) Weltfussball.de, accessed: 25 December 2015
  9. ^ gefinkelt”. Duden. 2021年6月23日閲覧。
  10. ^ Der DSC. wieder Meister!. In: Das Kleine Blatt, 19. June 1944, p. 4 (Online at ANNO)Template:ANNO/Maintenance/dkb

参考文献

  • ウルリッヒ・ヘッセ・リヒテンベルガー 秋吉香代子訳 (2005). ブンデスリーガ ドイツサッカーの軌跡. バジリコ株式会社. ISBN 4-901784-92-7 

外部リンク




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