トリートーン神と英雄たち
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 05:03 UTC 版)
「トリートーン」の記事における「トリートーン神と英雄たち」の解説
トリートーンはまたローマ神話や叙事詩にも登場する。『アエネーイス』では、トリートーンは、アエネーアースのラッパ吹きミーセーヌス(英語版)がほら貝を吹いたことを自らへの挑戦とみなし、その吹奏の才をねたんで海に投じて殺した。 ヘーラクレースがトリートーンと組み合い格闘する場面は、古代ギリシア美術、とくに黒絵式陶器の定番モチーフの一つであった。だが、これを物語る文献は現存していない。だが例数はより少ないが、同題材を扱うとみられるギリシア陶器のなかに、ヘーラクレースの相手を「ネーレウス」または「海の老人(英語版)」と記す例があり、ヘーラクレースとネーレウスとの確執についてならば、記述する文献が現存する(偽アポロドーロス『ビブリオテーケー』)。「海の老人」は、いくつかの海神にあてはめられる表現であり、ネーレウスも、これに該当する 。また、ネーレウスは、トリートーンのようにしばしば半人半魚の姿で描かれていた 。 ひとつの説明によれば、このネーレウスを全身とも人間の姿で描く慣習が、絵師たちのあいだで定着したため、この場面を描く場合に、半魚人をトリートーンと記さざるをえなくなった。そしてネーレウスは、格闘を傍らで観戦するかたちでこの場面に登場する例もある。 赤絵式の時代が到来すると、このヘーラクレース対トリートーンの題材は完全に廃れ、代わりにテーセウスによるポセイドーン宮殿への冒険などが題材にされてゆき、その宮殿にはトリートーンが配置されることもしばしばある。この冒険を記述する文学には、トリートーンが陪席するとは記されないが、トリートーンがそこにいるとして描かれてもなんら不自然な点はないと指摘される。
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