ダダから前衛へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 05:32 UTC 版)
「エルヴィン・シュルホフ」の記事における「ダダから前衛へ」の解説
ダダイスムから感化された実験的な手法を用いた作品も知られており、耳障りな不協和音をリズムに挿入するなど、現代のポピュラー音楽にも通じる手法を用いた曲もある。全曲が長さの異なる休符とアゴーギクのみからなる「5つの演奏会小品 作品3」の第3曲「In futurum」は、典型的なダダ的風刺がこめられた作品であるとされている。そのほか女声と効果音からなる「シアター・ピース WV 197」、女性の喘ぎ声と水音を組み合わせた「ソナタ・エロティカ WV 197」など、第二次世界大戦後の前衛音楽を先取りしたような作品もある。 シュルホフは旧習を否定するために前衛的な試みを支持していたが、実験のための実験には反対する立場をとっていた。前衛的な作曲技法である十二音技法を推し進めたシェーンベルクについての文章も残しているが、シュルホフはシェーンベルクの音楽的哲学には共感できず、「リズムを欠いた騒々しいだけの音楽である」と評しており、自ら十二音技法を作曲に用いることもなかった。これはシュルホフが、芸術音楽と大衆音楽の溝を埋めたいと思っており、「音楽は決して哲学ではない!(中略)ブルジョワだけが音楽は哲学であると信じている」として、哲学的な音楽の捉え方を否定していたためであった。ただしシェーンベルクの楽曲に見られる、緻密なフレーズとダイナミックな表現に織り交ぜられる主題的な旋律については、シュルホフも高く評価している。またシュルホフは音楽におけるリズムの重要性を強調しており、リズムを通した肉体的な至福感や、そこから得られる恍惚感を重視していた。
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