ダストプラズマの自己組織化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/21 06:28 UTC 版)
「ダストプラズマ」の記事における「ダストプラズマの自己組織化」の解説
プラズマは制御性に優れているため、プラズマを用いたさまざまな技術によって精密に目的とする高分子を生成することが可能である。ナノメーターからサブミリメーターにいたるメゾスコピック領域における高分子や半導体の精密なパターン化は情報処理システムの高度化に必要な技術である。 一方でダストプラズマは条件が整うと、上で述べたクーロン結晶のような規則的な構造を持つ微粒子集団などを形成する。これを生体分子の自己組織化になぞらえ「ダストプラズマの自己組織化」とも表現する。ダストプラズマの制御技術を通して、逐次電路の再描画と再構築が可能な情報処理システム開発に向けたさまざまな取り組みが始まっている。現時点では放電管内に微粒子のダストを散布して、たとえば静電複写機が文字や図形を描くようにして微粒子を集積させ、逐次書き換え可能な小規模の立体的電路を生成できるレベルに過ぎない。将来的にダストプラズマが、通常のプラズマで可能なようにナノレベルで自在に制御できた暁のこととして、エネルギーサイクルを持ち自発的秩序形成機能を備えた散逸構造化されたプラズマで構成された、通常の壊れやすい機械的部品をいっさい持たない探査機を作り、宇宙空間に飛ばすことをはじめとする提案がなされている。 プラズマ状態で宇宙空間に漂っているダストなどを観測する技術が進歩した結果、宇宙空間には意外にもかなり豊富に、生物を構成するアミノ酸や核酸塩基の元となる有機化合物が分布する領域があることが明らかになってきた。それらの物質は、宇宙空間でダストプラズマの自己組織化によって生成され蓄積されてきたとも考えられている。ダストプラズマ中の粒子が宇宙空間で自己組織化して単純な有機分子となり、さらに生体分子へとつながる過程を再現することを通し、究極的には生命誕生の秘密の一端を解き明かそうと取り組む研究グループが複数生まれている。宇宙空間に観測された有機分子に宇宙線を模した電磁波を照射して、有機分子の変化を追跡するといった手法の研究は行われており、すでにいくつかのモデル反応の実現に成功している。
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