ダイナミックレンジ制御
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 05:27 UTC 版)
「音響信号処理」の記事における「ダイナミックレンジ制御」の解説
音響信号のダイナミックレンジを縮小・拡大する処理をダイナミックレンジ制御(英: dynamic range control)という。 基本原理は自動利得制御であり、コンパンディングと同様の処理を行う。エフェクターの文脈ではダイナミクス系と俗称される。レンジの縮小・拡大、変化率により様々な呼び名がある。次の表はいくつかのダイナミックレンジ制御の名称であるが、すべて信号処理として(パラメータの異なる)同じ処理をおこなっている。 表. ダイナミックレンジ制御名称レンジレシオ (I:O)リミッター 縮小 10:1 ~ ∞:1 コンプレッサー 縮小 1:1 ~ 10:1 エキスパンダー 拡大 1:1 ~ 1: 10 ノイズゲート 拡大 1:10 ~ 1:∞ ダイナミックレンジ制御は主に以下のパラメータから構成される。 閾値(英: threshold): 制御有無が切り替わる信号強度 レシオ(英: ratio): 信号増幅の大きさ(入力変化量 [dB] と出力変化量 [dB]の比) ゲイン(英: ratio): 出力信号のブースト アタック(英: attack): 閾値越えからレシオ完全適用までにかかる時間 リリース(英: release): 閾値を下回ってから無制御までにかかる時間 すなわち閾値を超えた部分にレシオを適用しゲインで全体音量を持ち上げる。レシオは即座に適用・解除されるとは限らず、アタック/リリース長に基づいて徐々に変化する。 ダイナミックレンジ制御の目的(エフェクターとしての役割)は様々である。レシオを∞にすれば閾値を信号上限にできるため回路保護に利用できる(=リミッター)。逆にレンジを無限に拡大すれば閾値以下の領域が0へ投射され、ノイズフロアの低減につながる(=ノイズゲート)。ダイナミックレンジ制御は閾値を境として強度に対し非線形の変換をおこなうため、必ず周波数構造を変化させる。すなわち音を歪める。これを積極的に利用し音作りのエフェクターとして利用する場合もある。
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