タイトルのインフレ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/06 09:27 UTC 版)
「グランドマスター」の記事における「タイトルのインフレ」の解説
1972年には88人しかGMがおらず、そのうち33名がソ連の選手であった。2005年7月にはGMの数は900人を超えている。GMの数が急増した原因はまずFIDEのレーティングのインフレにある。過去10~15年の間に100ポイント程度のインフレが起き、GMノームの獲得が容易になった。例えば、ナイジェル・ショートは、1989年に世界ランク3位でレーティング2650であった。21世紀になってからは、2650のレーティングは世界ランク50~60位程度で、世界ランク3位の選手のレーティングは2750程度である。インフレの他の要因としては、世界で多くの大会が開かれ航空運賃が下がって大会にでることが容易になったこと、1990年以前のように旧ソ連や東欧諸国の選手の旅行制限がなくなったことがあげられる。また以前ではノーム対象とならなかった持時間の短い大会でもノームが認められるようになり、取得のチャンスが高まった。 グランドマスターのタイトルは現在でも最高のタイトルである。マスターは全チェス選手の2%程度で、グランドマスターのタイトルを持っているのはわずか0.02%程度である。 しかし、1914年当初の5人のGMと比べて同等といえるのはほんの一握りのGMである。ラスカー、カパブランカ、アレヒンは世界チャンピオンであったし、タラッシュとマーシャルは世界チャンピオンの挑戦者であった(2人ともラスカーに敗れた)。 GMタイトルの栄光を取り戻すために、GMは世界チャンピオンレベルの選手に限定すべきだ、という提案がしばしばなされている。過去に世界チャンピオン挑戦者となったショートは、世界チャンピオン候補とそれ以下のレベルの選手が混在しているGMのタイトルは廃止すべきだ、と主張している。
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