スライドとバルブの得失
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 07:26 UTC 版)
スライドは、無段階に任意の長さを得られ、正しい音程を演奏できる長さに調節可能である。必要であれば平均律や純正律以外の音律での演奏も可能であり、また、バルブよりも構造が単純であるためよりよい音質を得ることができるとされ、バルブよりも管の曲がりが少ないため息の抜けがいい。その反面、腕(肘)の屈伸によりスライドを伸縮操作するため、動作が大きくなり、素早い動きではバルブに及ばず、また、伸縮の距離に限界があるために、長い管を持つ楽器には不向きである。加えて、この部分は円筒である必要があり、もっとも縮めた場合でも、その長さは管の全長の4割に及ぶ。このため、円錐管が多く占める楽器では用途が音程の微調整に制限される。また、とくにその長いものでは、滑らかな動作と息漏れの防止を両立させるためには比較的高い精度での加工および調整が必要である。 バルブは単独で押すときには正確な音程が得られるが、上述のようにバルブを組み合わせたときには音がうわずってしまう。そのための何らかの補正が必要である(管の抜き差しや唇の技術、またフレンチホルンにあっては右手の挿入の技術によって補正する)。
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