ジャン=アンリ・パップとカプス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/10 00:23 UTC 版)
「エルンスト・カプス」の記事における「ジャン=アンリ・パップとカプス」の解説
ピアノに高張力鋼鉄弦と銅巻き弦のシステムを考案し使用し始めたのはカール・ベヒシュタインの教師であったジャン=アンリ・パップ(1789年–1875年)である。パップは、1826年に交差張弦も発明し、その他多くの成功を収めた発明とあまり成功しなかった発明を残した。また、ヒッチピンとブリッジ(駒)の間に位置する追加のプレッシャーバーの設計を発明した(同様のシステムは後の1972年にC・F・セオドア・スタインウェイによって特許が取られた)、現在は「デュープレックス・スケーリング」と呼ばれている。パップはハンマーのための圧縮フェルトの使用も導入した。これらのうちかなりの数が今日も使用されている。 パップのより成功を収めた発明の一部は、エラール、シュタインヴェーク、スタインウェイ、そしてエルンスト・カプスといったピアノ製作史のかなり初期の少数の製造業者によって採用された。パップと議論し、エルンスト・カプスはパップの設計を拡張して、1865年に二重交差張弦方式を考案した。この設計は低音、中音、高音の3種類の高さのブリッジを用い、それ以前は問題を抱えていたベビーグランドピアノの生産を可能にした。これによってピアノ製作史の初期に全長154 cmのピアノの生産が可能となった。 この発明やアップライトピアノにおける「パンツァーシステム」と呼ばれるものを含ぬその他の効果的な発明の結果として、カプス社は1930年のドレスデン工場の閉業まで長年の商業的成功を収め、この工場では37,500第のピアノが生産された。 エルンスト・カプスは様々な興味深い発明について数多くの特許を取得した。これらのうちの一つが「共鳴体(resonator)」である。これは上面に響孔が開けられた共鳴胴から構成される。これらは、ブリッジの配置に沿って中音および高音のブリッジの真下に固定された。この目的は、より大きな振動体と追加の同時に発生する倍音を作り出そうとするもので、より豊かでより色鮮かな音を生み出そうとする手間のかかる努力であった。
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