シーケンシャルターボ
複数の排気ターボを装着したエンジンシステムにおいて、運転状態に応じて段階的にターボを作動させる方式。直列式は、低速時には小流量のタービンに排気の全量を流し、中高速時にはこれをバイパスして直接大型タービンに導く。一方、並列式では低速時に1つのターボを作動させ、中高速時には2つのターボに排気を導く。おもに切替え時の段付きが問題となるため、セカンダリーターボを助走させるなどの工夫がなされている。作動させるターボの選択は、タービンに流れる排気通路のバルブのオン・オフで行われる。
シーケンシャルターボ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/20 08:37 UTC 版)
「ツインターボ」の記事における「シーケンシャルターボ」の解説
エンジンの作動状態によって二つのターボチャージャーを使い分けるのがシーケンシャルターボである。前述のツインターボと同様に2基のターボチャージャーを使用するため、シーケンシャルツインターボとも呼ばれる。シーケンシャルターボは直列タイプと並列タイプの2種類に分けられる。 直列タイプでは小型のターボチャージャー(小型ターボ)と大型のターボチャージャー(大型ターボ)を直列につなげて使用する。排気側はエンジン、小型ターボ、大型ターボの順に直列につながっており、小型ターボをバイパスする経路が設置される。吸気側のレイアウトは大型ターボ、小型ターボ、エンジンの順に直列につながり、排気側と同様に小型ターボをバイパスする経路がある。エンジン回転数が低く排気ガス流量が少ない領域では、全排気ガスを小型ターボへ集中させて、ターボラグを少なくし、低速トルクを確保する。エンジン回転数が上昇し、排気ガス量が増加してきたところで徐々にバイパスバルブを開き、小型ターボをバイパスさせて大型ターボへ排気ガスを導入する。バイパスバルブが開くに従い、小型ターボのタービン前後圧力差は小さくなるため、以降の過給は大型ターボのみが受け持つ。なお、このとき小型ターボのコンプレッサーが抵抗になるため、吸気側のバイパスバルブを開き小型ターボは吸気側でもバイパスされる。 並列タイプは一つ目のターボチャージャー(プライマリーターボ)と二つ目のターボチャージャー(セカンダリーターボ)が並列に設置される。排気側ではどちらか片方のターボにウェイストゲートが設置され、セカンダリーターボ上流には排気ガス導入を制御する切換えバルブが設置される。吸気側ではセカンダリーターボに、コンプレッサーを通過した吸気を再循環させるリリーフバルブがあり、プライマリーターボ側の吸気管との接合前に切換えバルブが設置される。エンジンの低回転領域では直列タイプと同様に全排気ガスをプライマリーターボに導き過給圧を得るが、中高速域では吸排気の切換えバルブを開きプライマリー、セカンダリーの二つのターボで過給を行う。 どちらのタイプもエンジンの作動状態に合わせて二つのターボチャージャーの作動状態を切り替える必要があるため、電子制御が必須になっている。また、切換え時にトルクの段差が生じやすいため、この制御が課題になっている。
※この「シーケンシャルターボ」の解説は、「ツインターボ」の解説の一部です。
「シーケンシャルターボ」を含む「ツインターボ」の記事については、「ツインターボ」の概要を参照ください。
- シーケンシャルターボのページへのリンク