シュラウドの役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 00:20 UTC 版)
上記のようにして設置されているシュラウドは2つの役割がある。 燃料集合体の横ぶれ抑制 「炉心の燃料集合体を支える傘立」として機能する。燃料集合体はその下部で制御棒案内管により支えられ、制御棒案内管は圧力容器底部に支えられている。これがいわば「傘立てに差し込まれる傘」であり、燃料の上部は上部格子板、制御棒案内管の上部は炉心支持板により支えられる。このようにして、燃料集合体は横方向に力がかかってもぶれることがない。言い換えれば「シュラウドは燃料集合体を正しい位置に保持する」という役目を負っているという。軽水炉においては水と燃料の位置関係は反応度に関係するため、この役目は重要である。 LOCA時に内釜として水を貯める 圧力容器から出入りする再循環系配管など、大口径配管の破断事故が発生した際、圧力容器本体は水を貯める役割を果たせなくなる。この時、原子炉はスクラムして下部からは制御棒が挿入され、シュラウドが内釜の役割を果たす。それと同時に非常用炉心冷却系により、シュラウド内に注水が開始されるように設計されている。 冷却水の流れをガイドする シュラウドの機能として補助的に挙げられる。ジェットポンプを通じて圧力容器底部に供給された冷却水は上部に向けて流れ、その過程で沸騰し、シュラウドヘッド上部に設けられた汽水分離器により蒸気が分離され、蒸気タービンに送られる。 なお、シュラウドは中央部で直径約5m、高さ7m弱、肉厚は胴部で50mmのオーステナイト系ステンレスである。これに対し、圧力容器の肉厚は約160mm前後ある。シュラウドには、放射性物質を閉じ込める役割は期待されていない。
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