サヨ sayo(粥)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 00:59 UTC 版)
ピヤパ(稗)やシアマム(米)で炊いた薄い粥。大抵は穀物のみで炊かれるが、山菜などを炊き込む場合もある。農耕民族のような主食としての粥ではなく、脂こい汁物や焼肉、焼き魚で腹を満たしたのち、「口直し」として茶のように啜られるものである。そのため脂気が混じらないように、それ専用の小鍋で炊かれる。盛り付けの際も、掬うカスㇷ゚(お玉杓子)は汁用とは別のサヨカスㇷ゚(粥杓子)を用い、汁の味が混ざらないよう気を配った。穀物の利用は薄い粥が中心だったため、一人あたりの穀物消費量は1か月で1升、5人家族でも年に6斗あれば事足りた。 このサヨには、以下の種類がある。 トゥレㇷ゚サヨ turep sayo トゥレㇷ゚(オオウバユリ)から澱粉を採集した際の澱粉滓を醗酵させた保存食オントゥレㇷ゚(on turep)を入れた粥。まず硬く乾燥したオントゥレㇷ゚を臼で搗き砕き、水で戻す。水の沈殿物で直径3センチほどの団子を作り、稗の薄い粥に入れてさらに炊く。トゥレㇷ゚の球根の鱗茎を入れた粥も、同じ名前で呼ばれる。 イルㇷ゚サヨ irup sayo オオウバユリのイルㇷ゚(澱粉)を団子にして入れた粥。 エントサヨ ento sayo 山菜の一種であるエント(ナギナタコウジュ)を入れた粥。独特の香気が好まれる。 サッシラリサヨ satsirari sayo トノト(どぶろく)を作ったときにできるシラリ(酒粕)を、粥に入れる。 キキンニサヨ kikinni sayo キキンニ(エゾノウワミズザクラ)の皮を入れた粥。 チポㇿサヨ cipor sayo 米で粥を炊き、チポㇿ(イクラ)を入れる。生イクラを使ったチポㇿサヨは、秋にしか食べられないごちそうである。それ以外の季節は、サッチポㇿ(sat cipor 乾燥筋子)を入れた粥を作る。
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