コンピュータ・チェッカーの開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/18 06:20 UTC 版)
「アーサー・サミュエル」の記事における「コンピュータ・チェッカーの開発」の解説
人工知能の分野では、世界初のコンピュータチェッカーの開発で知られている。サミュエルは、コンピュータによる一般問題への適切な戦術を開発するにはゲームを学習させるのが非常に有益だと考え、単純だが奥が深いチェッカーを選択した。その中心となったのは、現在状態から到達可能な盤面の探索木である。当時のコンピュータのメモリは非常に小さかったので、後にアルファ・ベータ法と呼ばれる技法で枝刈りを行った。それぞれの経路がゲームの決着がついた状態になるまで探索するのではなく、任意の盤面を評価する関数を開発した。この関数は与えられた盤面で双方が勝つ確率を数値化しようとする。これには、駒の数、「キング」の数、それぞれの駒が「キング」になる可能性などを考慮する。次の一手はミニマックス法に基づいて決定する。すなわち、相手は評価関数が自分にとって最適になるような手を選ぶと想定し、評価関数の値が自分にとって最適な一手を選ぶ。 他にもプログラムをよりよくするであろう様々な機構を設計した。"rote leaning"(暗記)と名付けた機構は、かつて見たことのある盤面とその際の評価関数の最終値を記憶するものである。この技法により、各盤面での探索の深さを効率的に拡張した。後には、プロのプレイした棋譜を入力することで評価関数の再評価を行った。またもう1つの学習方法として、プログラムに自分自身と数千回対戦させた。これらを全て行うことでサミュエルのチェッカープログラムは普通のアマチュアレベルに達し、ボードゲームを行うプログラムでそのレベルに達したのはこれが世界初だった。サミュエルは1970年代中ごろまでチェッカープログラムの研究を続け、そのころには腕の立つアマチュアと互角に戦えるレベルになっていた。
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