ケイマン_(MRAP)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ケイマン_(MRAP)の意味・解説 

ケイマン (MRAP)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/16 02:13 UTC 版)

ケイマン MRAP
側面に増加装甲を装備したケイマン
種類 6x6 MRAP
原開発国 アメリカ合衆国
運用史
配備期間 2008年~
配備先 アメリカ軍、他
関連戦争・紛争 イラク戦争後の駐留期間
アフガニスタン紛争、他
開発史
開発者 スチュワート・アンド・スティーブンソン社
製造業者 BAEシステムズ
製造期間 2007年~
諸元
重量 16,825 kg(ケイマン)
18,189 kg(ケイマン・プラス)
全長 7.727 m
全幅 2.471 m(ケイマン)
3.353 m(ケイマン・プラス)
全高 2.819 m

装甲 V字型車体複合装甲
主兵装 M2重機関銃またはM240機関銃OGPKに装備
エンジン キャタピラー C7 6気筒ターボチャージャー付きディーゼル
変速機 アリソン 3700 SP 7速オートマチック
懸架・駆動 リーフスプリング式、6輪駆動
燃料タンク容量 280 L
行動距離 645 km
速度 105 km/h
テンプレートを表示

ケイマン(Caiman)は、アメリカ合衆国で、アメリカ軍MRAP計画に応じて開発された、6輪駆動の装輪式対地雷装甲車(MRAP)である。

概要

ケイマンは、アメリカ海兵隊で計画された、対地雷防護性能を持った装甲車の開発・取得計画であるMRAPプログラムに応じ、スチュワート・アンド・スティーブンソン社によって開発された装輪式装甲車で、装甲化されV字型車体の底面を持つキャブおよび兵員室を採用している。開発のベースとなったのは、同じくスチュワート・アンド・スティーブンソン社によって開発されたアメリカ軍の中型軍用トラックであるFMTVと、その装甲化キャブとして開発されたLSAC(Low Signature Armored Cab)であり、ケイマンのシャーシ部分やサスペンション構造などは、FMTVとの互換性を維持して設計されている。元になったFMTVはアメリカ軍の軍用トラックとしては珍しく、キャブオーバー型の車両であるが、ケイマンはボンネットトラック型の車両として開発されている。しかしながら車両全体の部品点数でいえば、85%の部品互換性が維持されている。FMTVと同様に、空気圧自動調整システム(CTIS, Central Tire Inflation System)やABS(アンチロック・ブレーキ・システム)も標準装備されている。

スチュワート・アンド・スティーブンソン社の軍用車両部門(Tactical Vehicle Systems)は、ケイマンの開発中にあたる時期(2006年)に、アーマーホールディングス社に吸収された。アーマーホールディングス社は、同時期に、ハンヴィーの装甲車体パッケージを開発したオガラ・ヘス・アンド・アイゼンハート社(O'Gara-Hess & Eisenhardt)、複合装甲に使用される超軽量ポリエチレン繊維(Tensylon)を開発していたインテグレーテッド・テキスタイル・システムズ(Integrated Textile Systems)社も同時期に傘下に擁しており、これらの会社の持っていた技術もケイマンの開発に生かされた。

2007年にケイマンはアメリカ軍による試験をクリアし、制式採用される事になった。約1,200両のケイマンがアメリカ海兵隊およびアメリカ海軍から発注された。同じ年に、アーマーホールディングス社はBAEシステムズ社の傘下となり、ケイマンはBAEシステムズ・ランド・アンド・アーマメンツ社の製品として供給される事となった。その後、トータルで約2,800両以上のケイマンが生産された。

その後、IEDの脅威の増大などから更なる防御性能が求められ、兵員室両サイドに中空式の増加装甲を装着したケイマン・プラス(Caiman Plus)も開発され、2009年頃には実戦投入されている。また、4×4輪駆動の車体に、短縮した兵員室を搭載した、ケイマン・ライト(Caiman Light)と呼ばれるタイプも開発された。

2010年には、1,700両のケイマンを、ケイマンMTV(Caiman MTV、Multi-Terrain Vehicle)と呼ばれるバージョンアップ型に改修する契約が行われた。この改修は、装甲車体の強化、エンジン、サスペンション、シャーシフレームの強化など、車両全体に設計変更を行う大規模な物となっている。

ケイマンはイラク戦争、アフガニスタンからの米軍撤退後、装備定数削減により国防省から払い下げられるようになり、アメリカ国内警察SWAT部隊などでも運用されるようになった。 また、2013年より、アメリカ航空宇宙局(NASA)でも、M113装甲兵員輸送車の後継となる事故発生時の緊急退避用車両(emergency egress vehicles)として採用されている。

画像

使用国

 エジプト

エジプト陸軍 - 2024年時点で、535両のケイマンを保有[1]

アラブ首長国連邦

約4,500両以上のMRAP導入契約が2014年9月に行われ、このうち1,150両がケイマンである[注 1]

アメリカ合衆国

アメリカ軍NASA、各警察のSWAT部隊など。

脚注

注釈

  1. ^ 残り3,375両はマックスプロである。

出典

  1. ^ IISS 2024, p. 348.

参考文献

  • MRAP, Modern U.S.Army Mine Resistant Ambush Protected Vehicles, American Special N3011, Jochen Vollert, Tankograd Publishing
  • The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2024) (英語). The Military Balance 2024. Routledge. ISBN 978-1-032-78004-7 

関連項目

  • MRAP
  • FMTV - ケイマンのベースとなった、アメリカ軍の2.5t/5tトラック。

外部リンク


「ケイマン (MRAP)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ケイマン_(MRAP)」の関連用語

ケイマン_(MRAP)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ケイマン_(MRAP)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのケイマン (MRAP) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS