グラフの型について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/17 04:58 UTC 版)
生存曲線を三つの型に分類することは先述のPearl & Minerに遡る。彼等はそれをI型(A型・晩死型とも)・II型(B型・平均型・一定型とも)・III型(C型・早死型とも)と名づけ、これは後生の研究者もそれを踏襲している。 三つの型は、以下のような特徴を持つものである。 I型は当初はほぼ横ばいにグラフが伸び、最後の段階でがくんと落ち込む型で、具体的には初期の死亡率が低く、生理的寿命に近づくと多くが死亡することを示す。 III型はI型とは逆に最初に急激に下降し、その後は横ばいに近い形で下がってゆくもの。これは初期死亡率が極めて大きく、その後は死亡率が下がることを示す。 II型は両者の中間で、ほぼ直線的な右下がりのグラフとなる。これはその生活史全域にわたって死亡率に差がないことを示す。 他の特徴としてPearl & MinerはIII型において、初期死亡率の高さのために、平均寿命との偏差が特に大きいことを指摘した。 I型の生存曲線を持つものは、大きな子供をごく少数だけ産むもの、例えば大型ほ乳類などに見られる。III型は、これとは逆にごく小さな子供(卵)を極めて多数生むものに見られる型である。野生動物は多くの場合II型かIII型になる。オダム1953はIII型の典型としてカキを挙げ、自由遊泳の幼生時の死亡率が極めて大きく、定着後は比較的安定しているからと説明している。またII型の例にヒドラを挙げる。I型の極端な例としては、人工飼育下の純系ショウジョウバエにおいて、成虫に餌を与えなかった場合の例を挙げている。また、親による子の保護が手厚い場合には初期死亡率は低くなり、この点では生存曲線の三型は親による保護の差とも見ることが出来る。
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