グラックスバーグによる研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/29 03:07 UTC 版)
「ロウソク問題」の記事における「グラックスバーグによる研究」の解説
1962年に行われたサム・グラックスバーグ(英語版)による研究では、画鋲を箱の中に入れる方式と箱の横に置く方式と、それに短時間で解決法を見つけた被験者に賞金を出す方式と出さない方式を組み合わせ、計4種類の問題を用意した。賞金が出ない方式の場合、低動因群と呼ばれた被験者は、次のような説明を受けた。「この後で行う予定の実験で使用するにはどれが最適かを決めるため、私たちは様々な問題について試験的調査を行っています。解決に必要な時間についての基準値を得るのが、私たちの目的です」。その以外の高動因群と呼ばれた被験者は、次のような説明を受けた。「あなたがどれぐらい速く問題を解決できたかに応じ、5ドルから20ドルの賞金が用意されています。あなたのグループの中で上位25%に入れば、5ドルの賞金が出ます。最優秀者の賞金は20ドルです。解決にかかった時間が評価基準です」。画鋲を箱から出して提示した場合は、画鋲を箱の中に入れて提示した場合に比べ、より解決が容易であることがわかった。より多くの被験者が正解を見つけることができたうえ、正解した人も短時間で解いた。画鋲を箱の中に入れて提示する条件において高動因群の成績は、低動因群の成績よりも悪かった。グラックスバーグは、この結果を新行動主義的動因理論(英語版)の見地から解釈した。「強い動因が存在することで、既存の習癖がなかなか消えず、正しい解法を思いつくのを阻害する」。これを、過剰正当化効果の見地から説明することについては、画鋲を箱から出して提示する条件下においてその効果が見られないことのほか、逆向きに若干の効果が見られることなどの不整合点がある。 高動因条件で失敗する割合が高くなる理由のもう一つの説明として、次のようにも言える。この課題を、限られた資源をめぐる競争という状態に変質させたことによって被験者は軽度のストレスを感じることになり、それによって闘争・逃走反応として知られる交感神経系反応が生じる。このストレス反応は、前頭葉皮質にある脳の創造的思考と問題解決の領域を、実質的に無力化する。
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