クワインとその周辺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/06 20:04 UTC 版)
一方で、カルナップからの言語哲学は、W.V.O.クワイン(Willard van Orman Quine 米)にも引き継がれる。彼は、いかなる言語理論も論理を含めてそのどこでも改訂可能であるとして理論の全体論 (wholism of theories) を提示する(『ことばと対象(" Words and Object")』勁草書房)。また存在が何であるかとは言語の枠組みに何を取り入れるかの問題に過ぎない(「存在するとは何か ("On What There IS")」『論理的観点から』勁草書房所収)とする。さらに語が何を指示しているかは一義的に定まりえない(「存在論的相対性について "Ontological Relativity"」)とする指示の不可測性 (inscrutability of reference)、データからは正しい理論は一義的に定まらないとする理論の決定不全性 (underdetermination of theory)や、正しくかつ相互に諸命題の真理値が一致しない複数の翻訳が存在するという翻訳の不確定性 (indeterminacy of translation) 等の、言語の存在論的優位に基づく諸議論を展開した。これが『論理哲学論考』以降の第3の流れである。 この流れは、基本的には論理学に基づいた単純な、しかし、言語の全体論 (semantic wholism) を採択した言語を考察の中心として、それに基づいて哲学の諸問題を解決しようとするドナルド・デイヴィッドソン(Donald Davidson 米)に引き継がれる。 そして、排中律の否定と意味の分子論 (molecularism) を主張するマイクル・ダメット(Michael Dummett 英。主著『真理という謎 ("Truth and Other Enigmas")』、'What Is a Theory of Meaning I,II')などに受け継がれていく。
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