カロテノイドとカロチノタンパク質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 12:05 UTC 版)
「生物色素」の記事における「カロテノイドとカロチノタンパク質」の解説
カロテノイドは自然界で発見されている最も一般的な色素群である。600種類以上のカロテノイドが動物、植物、微生物で見つかっている。 動物は自分でカロテノイドを作ることができないため、これらの色素は植物に依存している。カロチノタンパク質は特に海洋生物では一般的である。これらの複合体は、これらの海洋無脊椎動物の交配行動やカモフラージュの際の様々な色(赤、紫、青、緑など)を担っている。カロチノタンパク質には主に2つのタイプ、タイプAとタイプBがある。タイプAは単純なタンパク質(糖タンパク質)と化学量論的に結合したカロテノイド(クロモゲン)を持ち、タイプBはリポタンパク質と結合したカロテノイドを持ち、普通はあまり安定しない。タイプAは海洋無脊椎動物の表面(貝殻や皮膚)に多く含まれているのに対し、タイプBは通常、卵、卵巣、血液中に含まれている。これらのカロチノタンパク質複合体の色や特徴的な吸収は、クロモゲンとタンパク質サブユニットの化学結合に基づいたものである。 例えば、青色のカロチノタンパク質linckiacyaninは1つの複合体あたり約100-200のカロテノイド分子を持っている。また、これらの色素-タンパク質複合体の機能により化学構造も変化する。カロチノタンパク質は光合成構造の中にあるものがより一般的ではあるが、より複雑でもある。光合成系の外部の色素-タンパク質複合体は一般的ではないものの、より単純な構造をしている。例えば、クラゲのVelella velellaにはこうした青色のアスタキサンチン-タンパク質は2つしかないが、1つの複合体あたり約100個のカロテノイドしか含まれていない[要出典]。 動物で一般的なカロテノイドはアスタキサンチンであり、紫青や緑の色素が生じる。アスタキサンチンの色はタンパク質と特定の順番で複合体を作ることで形成される。例えば、クルストクリン(crustochrin)には約20個のアスタキサンチン分子がタンパク質と結合している。この複合体が励起子-励起子相互作用により相互作用すると吸光度の最大値が下がり異なる色の色素に変化する。 ロブスターでは様々なタイプのアスタキサンチン-タンパク質複合体が存在する。1つ目はクルスタシアニン(英語版)(最大吸収波長 632 nm)でありロブスターの甲羅に見られるスレートブルーの色素である。2つ目はクルストクリン(409 nm)で甲羅の外層に見られる黄色の色素である。最後にリポ糖タンパク質とオボベルジン(ovoverdin)は通常甲羅の外層とロブスターの卵に存在する鮮やかな緑色の色素を形成している。
※この「カロテノイドとカロチノタンパク質」の解説は、「生物色素」の解説の一部です。
「カロテノイドとカロチノタンパク質」を含む「生物色素」の記事については、「生物色素」の概要を参照ください。
- カロテノイドとカロチノタンパク質のページへのリンク