インディアン側の反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 05:04 UTC 版)
この法案は、「小土地所有農民としての自立・同化がインディアンにとって最善である」という信念をもった、「インディアンの白人同化」を前提とした「人道的」な勢力と、インディアンの土地への欲望に駆られた産業界、移住者との意向が一致して成立したものであったが、当事者であるインディアンは大部分が反対した。文明化五部族などインディアン・テリトリーの十九の部族が法の対象から外れているのは、かれらが一致して非難を決議し、抗議文を大統領に送ったことによる。しかしそうした実力を蓄えていた部族をのぞいた大半のインディアンに対しては、その反対にもかかわらず強行されたのであった。 もともとスー族やシャイアン族、コマンチ族といった大平原と以西の狩猟民族たちにとって、土地は「狩猟の領域」であり、誰のものでもなかったのである。インディアンはそもそも大地を母と考え、今でもティーピーの柱を建てる際にも大精霊に許しを乞うような民族である。個人が土地を割り当てられて農場を強制されたからといって、自給自足が成立するなどという考えは、そもそもが農耕民族である白人たちの机上の空論に過ぎず、ただ社会を堕落させるのみだった。同様の問題は、豪州のアボリジニなどに見られ、未だにこれは解決されていない。 結局、ドーズ法の導入はインディアンの主権の放棄を促す民族浄化の手段でしかなかった。サラ・ウィネマッカなどは「白人側についたインディアンの裏切り者」としてインディアンたち、また母族のパイユート族から罵りを受けねばならなかった。
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