イタリア喜劇の俳優たち (ヴァトー、ロサンゼルス)とは? わかりやすく解説

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イタリア喜劇の俳優たち (ヴァトー、ロサンゼルス)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/12 18:07 UTC 版)

『イタリア喜劇の俳優たち』
フランス語: Les Comédiens itlaliens
英語: The Italian Comedians
作者 アントワーヌ・ヴァトー
製作年 1720年ごろ
素材 キャンバス上に油彩
寸法 128.9 cm × 93.3 cm (50.7 in × 36.7 in)
所蔵 J・ポール・ゲティ美術館ロサンゼルス

イタリア喜劇の俳優たち』(イタリアきげきのはいゆうたち、: Les Comédiens italiens: The Italian Comedians) は、18世紀フランスロココ期の巨匠アントワーヌ・ヴァトーが1720年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した絵画である。2012年に購入されて以来、ロサンゼルスJ・ポール・ゲティ美術館に所蔵されている[1]

背景

フランスの18世紀は演劇の黄金時代といわれるほど、王侯貴族から庶民まで演劇熱が高まった時代である[2]。当時のパリには、コメディ・フランセーズのような大劇場を舞台にするものから、アクロバット的な笑劇を行う縁日芝居、素人芝居まで様々なものがあった[2][3]。ヴァトー自身、非常に演劇好きで、彼の作品には演劇と関連を持つものが少なくない[3]。実際、ヴァトーは、紳士淑女の遊興を主題とした、いわゆる雅宴画英語版を描く前に「芝居画」で人気を博したのである[2]

作品

作品は、18世紀のパリで非常な人気を博したイタリア喜劇「コンメディア・デッラルテ」の衣装姿の5人の俳優たちをパリ郊外の公園内に表している[1]。彼らは今しがた演技を終えたところで、観客たちを期待気に見つめている。膨らんだ白い衣服を纏い、手に帽子を持っている中央の人物は道化役のピエロである。彼は、その帽子に小銭を投げ入れてもらうことを望んでいる[1]

イタリア喜劇の俳優たち』 (1720年ごろ)、ナショナル・ギャラリー (ワシントン)

ピエロの隣には、コンメディア・デッラルテのほかの4人の登場人物がいる。ブリゲッラ英語版は、見事な緑色がかった金色のスーツと黒い縞模様のある肩掛けのケープを身に着けている。メッツェッティーノ英語版ギターで音を奏でる一方、馬のような眉毛と口髭のある黒い仮面を被ったアルルカンは肩越しに覗き見をしている。白い襞襟が付いた、黒いベルベットの似非スペイン衣装を纏っている右端の人物は、スカラムッチア英語版である[1]。俳優たちは、彼らが終えたばかりの人為的で気まぐれな舞台とはほど遠い、色濃い人間性と生き生きとした現実感で鑑賞者の世界に入ってくる[1]

なお、ヴァトーは、カーテンコール (演劇終焉後の俳優たちの再登場) のお辞儀をするために舞台に集っている『イタリア喜劇の俳優たち』 (ワシントン・ナショナル・ギャラリー) もほぼ同時期に描いている[4]

脚注

  1. ^ a b c d e The Italian Comedians”. J・ポール・ゲティ美術館公式サイト (英語). 2025年11月10日閲覧。
  2. ^ a b c 『週刊西洋絵画の巨匠 45 ヴァトー』、2010年、7頁。
  3. ^ a b 『NHK エルミタージュ美術館 2 ルネサンス・バロック・ロココ』、1989年、156頁。
  4. ^ The Italian Comedians”. ナショナル・ギャラリー (ワシントン) 公式サイト (英語). 2025年11月10日閲覧。

参考文献

外部リンク




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