二人の従姉妹
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/03 04:04 UTC 版)
| フランス語: Les deux cousines 英語: Two Cousins |
|
| 作者 | アントワーヌ・ヴァトー |
|---|---|
| 製作年 | 1716–1717年 |
| 素材 | キャンバス、油彩 |
| 寸法 | 30.5 cm × 36 cm (12.0 in × 14 in) |
| 所蔵 | ルーヴル美術館、パリ |
『二人の従姉妹』(ふたりのいとこ、仏: Les deux cousines、英: The Two Cousins)は、18世紀フランス・ロココ期の巨匠アントワーヌ・ヴァトーが1716-1717年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。1730年ごろ、この絵画を版画化したベルナール・バロン (Bernard Baron) の所有であった。以降、数々の所有者を経た後の1990年に寄贈されて以来[1]、パリのルーヴル美術館に所蔵されている[1][2][3]。
作品
ヴァトーはわずか36歳で結核のために世を去った[4]が、その天才的な感性によって18世紀ロココ絵画の創始者となった画家である[5]。特有の繊細さで夢幻的ともいえる霞がかった情景を描いた彼は、恋の秘め事の巨匠であった[3]。
本作の庭園は、池やその水面に映る彫像で飾られている。前景には、鑑賞者の方に背を向けている主人公の女性が見える。そのほっそりとしたうなじには、彼女がうちに秘めている心模様がはっきりと表されている。そして、その後ろ姿には彼女の孤独感が際立ち、近づきがたい印象を与える[3]。
彼女の視線は遠く水辺の方に向けられているが、そこには彼女が望みながらも与えられない「愛」と「美」の女神であるヴィーナスらしき彫像が設置されている。中景では、彼女の目の前にいる若い男性が別の女性に言い寄っており、彼は彼女にバラの花を贈って恋心を伝えている。彼女は彼を見つめながら、花をそっと胴着に飾っている[3]。
脚注
- ^ a b “Les deux cousines”. ルーヴル美術館公式サイト (フランス語). 2025年11月3日閲覧。
- ^ “A La Monnaie De Paris: Pelerinage a Watteau”. Le Courrier Australien (New South Wales, Australia) (9): p. 17. (1977年9月1日) 2018年8月9日閲覧。
- ^ a b c d 『ルーブル美術館展 日常を描く』 2015, pp. 130.
- ^ 『ルーヴル美術館 収蔵絵画のすべて』、2011年、549頁。
- ^ 『NHKルーブル美術館VI フランス芸術の華』、1986年、76頁。
参考文献
- 『ルーブル美術館展 日常を描く 風俗画にみるヨーロッパ絵画の神髄 LOUVRE Musée du Louvre de genre. Scènses de la vie quotidienne』協力:国立新美術館、ルーヴル美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社、日本テレビ放送網、2015年。
- ヴァンサン・ポマレッド監修・解説『ルーヴル美術館 収蔵絵画のすべて』、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2011年刊行、ISBN 978-4-7993-1048-9
- 坂本満 責任編集『NHKルーブル美術館VI フランス芸術の華』、日本放送出版協会、1986年刊行 ISBN 4-14-008426-X
外部リンク
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