アンドロメダ座2番星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/08 20:09 UTC 版)
アンドロメダ座2番星 A / B 2 Andromedae A / B |
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星座 | アンドロメダ座 | |
見かけの等級 (mv) | 5.113 (5.24 + 7.51)[1] | |
変光星型 | 楕円体?[1] | |
位置 元期:J2000.0 |
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赤経 (RA, α) | 23h 02m 36.38176s[2] | |
赤緯 (Dec, δ) | +42° 45′ 28.0628″[2] | |
視線速度 (Rv) | 2.1 ± 2.4 km/s[2] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 56.38 ミリ秒/年[2] 赤緯: -4.47 ミリ秒/年[2] |
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年周視差 (π) | 7.74 ± 0.51ミリ秒[2] (誤差6.6%) |
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距離 | 420 ± 30 光年[注 1] (129 ± 9 パーセク[注 1]) |
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絶対等級 (MV) | -0.39 ± 0.16 / 1.88 ± 0.16[1] | |
物理的性質 | ||
質量 | A: 2.7 ± 0.1 M☉[1] B: 1.78 ± 0.06 M☉[1] |
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表面重力 | A: 3 G[1][注 2] B: 8 G[1][注 3] |
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自転速度 | A: 212 km/s[3] | |
スペクトル分類 | B8/A2 V + F1/F4 V[4] | |
表面温度 | A: 8,950 ± 250 K[1] B: 7,720 ± 250 K[1] |
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色指数 (B-V) | 0.09[5] | |
色指数 (U-B) | 0.11[5] | |
年齢 | 5 ×108 年[4] | |
軌道要素と性質 | ||
軌道長半径 (a) | 0.225 ± 0.011 秒[4] | |
離心率 (e) | 0.800 ± 0.056[4] | |
公転周期 (P) | 73.997 ± 0.509 年[4] | |
軌道傾斜角 (i) | 21.7 ± 46.0 度[4] | |
他のカタログでの名称 | ||
ADS 16467, BD+41 4665, HD 217782, HIP 113788, HR 8766, SAO 52623, WDS J23026+4245[2] | ||
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アンドロメダ座2番星(アンドロメダざ2ばんせい、2 Andromedae、2 And)は、アンドロメダ座にある連星系である[4]。視覚的に分離できる連星で、見かけの合成等級は5.1である[1]。ヒッパルコス衛星が測定した年周視差に基づいて計算すると、太陽系からの距離はおよそ420光年である[2]。主星はA型のガス殻星、伴星は変光星とみられる[6][1]。
星系
アンドロメダ座2番星は、1889年にシャーバーン・バーナムによって、二重星であることが発見された[7]。このアンドロメダ座2番星AとBは、離角が0.3秒程度しかないため、大型望遠鏡でなければ観測は難しかったが、位置の測定が進むと連星であると予想され、一周期を公転し終える頃には軌道要素も求まり、連星であることが確実になった[8][9][10]。バーナムは、1911年にも、アンドロメダ座2番星 (AB) から90秒離れた位置に、14等星のアンドロメダ座2番星Cを発見した[11]。しかしこちらは、距離、固有運動共にアンドロメダ座2番星 (AB) とは一致せず、見かけだけの関係とみられている[4]。
軌道
バーナムの発見以来、ほぼ2周期近く位置測定を続け、見かけの軌道から軌道要素を計算した結果、アンドロメダ座2番星AとBとは、約74年周期で、離心率0.8というかなり細長い軌道を公転しており、軌道長半径は0.23秒で、ヒッパルコスの年周視差を仮定すれば、これは実距離でおよそ29auに相当する[4]。
物理的性質
アンドロメダ座2番星AとBは、表面温度がそれぞれおよそ9,000K、7,700Kと見積もられている[1]。また、アンドロメダ座2番星AとBの等級差は約2.3等で、これらからスペクトル型は、アンドロメダ座2番星AがB8/A2 Vで概ねA型主系列星、アンドロメダ座2番星BがF1/F4 VのF型主系列星と推定される[1][4]。一方、軌道要素からは星系の合計質量が推定され、太陽質量の約4.5倍となる[4]。スペクトル型と合計質量からすると、それぞれの恒星の質量は、アンドロメダ座2番星Aが太陽の約2.7倍、アンドロメダ座2番星Bが太陽の約1.8倍と見積もられる[1]。
アンドロメダ座2番星Aでは、可視光・紫外線のスペクトルで、光球に由来しない成分が多数検出され、一方で彩層起源の輝線がみられないことから、星周物質が存在すると考えられる。一方で、赤外線天文衛星IRASによる観測で赤外超過が検出されていないことから、星周塵はほとんど存在せず、ガス殻星の一種であるとみられる[6][12]。また、カルシウムの吸収線が赤方偏移しており、その視線速度に変化もみられることから、星周ガスは恒星に向かって落下しているものと考えられる[6]。かつては、アンドロメダ座2番星Aはうしかい座λ型星と言われていたが、その後、違うとみられるようになった[13][14][15]。
アンドロメダ座2番星Bは、1960年代から変光星と主張されている[16]。その後も、この星を比較星とする測光観測から、変光星であることが強く示唆されているが、確定した変光星とはなっていない[17][18][19]。スペクトル型や振動の時間尺度からすると、アンドロメダ座2番星Bはたて座δ型変光星ではないかと予想された[18]。しかし、アンドロメダ座2番星Bがたて座δ型星だとすると、実際の観測から見積もった変光振幅は小さ過ぎるため、たて座δ型ではなく楕円体状変光星と考えられはじめており、その場合、アンドロメダ座2番星Bの周囲には褐色矮星が存在すると予想される[1]。
脚注
注釈
- ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
- ^ 出典での表記は、
23h 02m 36.38176s, +42° 45′ 28.0628″
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