アレクサンダー多項式の計算
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 00:56 UTC 版)
「アレクサンダー多項式」の記事における「アレクサンダー多項式の計算」の解説
アレクサンダー多項式に対する以下の計算手法はアレクサンダーが自身の論文で与えたものである。 結び目の向きづけられた射影図の交叉点の数が n であるとする。この図は平面を n + 2 個の領域に分ける。アレクサンダー多項式を計算するには、まずサイズが n × (n + 2) の接続行列を作らねばならない。この行列の n 本の行が n 個の交叉点に対応し、n + 2 本の列が領域に対応する。この接続行列の各成分の値は 0, 1, −1, t, −t のいずれかである。 行列の各成分は、ある特定の領域と交叉点に対応して決まる。その領域がその交叉点に隣接しないならば成分の値は 0 である。また領域がその交叉点に隣接するときは、その位置関係で成分の値が決まる。位置関係は下をくぐる線が入ってくる方から交叉点を見てのものとして、成分は以下の表のように与えられる。 領域が交叉点をくぐる前の左側にあるとき: −t 領域が交叉点をくぐる前の右側にあるとき: 1 領域が交叉点をくぐった後の左側にあるとき: t 領域が交叉点をくぐった後の右側にあるとき: −1 接続行列から隣接する領域に対応する二つの列を取り除いてできる n × n 行列に対してその行列式を考えることができる。このときどの列を取り除くかに依って、得られる行列式の値は ±tn を掛ける分だけ違ってくるが、このあいまいさを取り除くために t の可能な限り最大の冪で割り、必要ならば −1 を掛けて、定数項が正になるようにする。こうして得られる多項式がアレクサンダー多項式である。 ザイフェルト行列からもアレクサンダー多項式を計算することができる。 アレクサンダーの仕事の後、フォックス(R. Fox)は結び目群 π 1 ( S 3 ∖ K ) {\displaystyle \pi _{1}(S^{3}\backslash K)} の表現を考え、非可換な別の計算方法を導入した Fox (1961)。彼の計算もまた、 Δ K ( t ) {\displaystyle \Delta _{K}(t)} の計算が可能である。高次のアレクサンダー多項式への彼のアプローチの詳細は、Crowell & Fox (1963)に記載されている。
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