アレクサンダー多項式の基本性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 00:56 UTC 版)
「アレクサンダー多項式」の記事における「アレクサンダー多項式の基本性質」の解説
アレクサンダー多項式は対称である。すなわち任意の結び目 K に対して Δ K ( t − 1 ) = Δ K ( t ) {\displaystyle \Delta _{K}(t^{-1})=\Delta _{K}(t)} が成立する。 定義節に挙げた定義に従えば、このことはポアンカレ双対同型 H 1 X ¯ ≃ H o m Z [ t , t − 1 ] ( H 1 X , G ) {\displaystyle {\overline {H_{1}X}}\simeq \mathrm {Hom} _{\mathbb {Z} [t,t^{-1}]}(H_{1}X,G)} の一つの表現になっている。ここで G は、ローラン多項式環 Z[t, t−1] の商体の、Z[t, t−1] による剰余環で、これは Z[t, t−1]-加群とみなすことができる。また H1X は H1X は共軛 Z[t, t−1]-加群、即ち単にアーベル群とみたときは Z[t, t−1] と同じものだが、被覆変換 t が t−1 として作用するものである。 また、アレクサンダー多項式の 1 における値は Z の単元である。すなわち Δ K ( 1 ) = ± 1 {\displaystyle \Delta _{K}(1)=\pm 1} が成り立つ。 同じく定義の意味を考えれば、このことは結び目の補空間が被覆変換 t の生成するホモロジー円周となっているという事実を表している。より一般に、M が自由階数 rank(H1X) = 1 となるような三次元多様体のとき、M はその無限巡回被覆空間の位数イデアル(行列式イデアル)として定義されるアレクサンダー多項式 ΔM(t) を持つ。この場合、ΔM(1) は、符号の違いを除いて一次元ホモロジー群 H1M のねじれ部分群の位数に等しい。 対称かつ 1 における値が単元であるような任意のローラン多項式が、何らかの結び目のアレクサンダー多項式となることが知られている (Kawauchi 1996)
※この「アレクサンダー多項式の基本性質」の解説は、「アレクサンダー多項式」の解説の一部です。
「アレクサンダー多項式の基本性質」を含む「アレクサンダー多項式」の記事については、「アレクサンダー多項式」の概要を参照ください。
- アレクサンダー多項式の基本性質のページへのリンク