アルミニウムクラスター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/01/09 20:28 UTC 版)
特定のアルミニウムクラスターは超原子の性質を持つ。これらのアルミニウムクラスターは、ヘリウムガス中に陰イオン (Aln–、n = 1,2,3...) として生成され、ヨウ素を含んだ気体と反応する。質量分析器で分析すると、この反応の主要な生成物の1つはAl13I–に変化する。余剰な電子を持つ13アルミニウム原子のクラスターは、同じ気体の流れの中に導入されたとき酸素と反応しないようである。各原子がその価電子を3つ自由化すると仮定すると、これは40の電子が存在することを意味する。この電子数は上述のナトリウムの魔法数の一つであり、この数は希ガスの反映であることを暗示する。アルミニウムクラスター内の付加的な電子はヨウ素原子からちょうど反対に位置することが計算によって示される。それゆえ、このクラスターはヨウ素より高い電子親和性を持つはずであり、このためアルミニウムクラスターは超ハロゲン (英語: superhalogen) と呼ばれる。Al13I–イオン内のクラスターを構成する要素は、ヨウ素イオンか臭素原子に類似する。関連するAl13I2–クラスターは三ヨウ化物イオンに似た化学的な振る舞いをすることが期待される。 同様に、魔法数より2多い、42電子のAl14クラスターは、典型的に+2の原子価状態に適応するアルカリ土類金属の性質を示すように見える。これは少なくとも3つのヨウ素原子がAl14–クラスター、Al14I3–に引きつけられているときにのみ起こることが知られている。陰イオンクラスターは総計43の遍歴電子(あちこち巡回する電子)を持つが、3つのヨウ素原子はそれぞれ遍歴電子の1つを取り除きジェリウム (en) 殻内の40の電子を保持する。 2つの原子間の相互作用はレナード-ジョーンズ・ポテンシャルによって良く近似できるため、不活性気体原子の原子クラスターをコンピュータ・シミュレーションによって研究することは、特に簡単で信頼できる。他の方法についても利用可能であり、魔法数が13, 19, 23, 26, 29, 32, 34, 43, 46, 49, 55などの超原子についての計算方法が確立されている。
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