目貫各部の名称(めぬきかくぶのめいしょう)
目貫は刀を保持する際、柄の中央辺りに収められていて手溜りと滑り止めの要とされる金具で、素材は多種多様である。実体が小さいところから図像の背景が省略され、主題のみが描かれることが多く、このような表現を容彫と称する。工法は主に地板を裏側から打ち出して凸形の高彫となし、これに表面から細刻や色絵象嵌を加えて完成させる。表裏から打ち叩く工法が薬缶の製作法に似ているところからこれを薬缶出しと称する。図像の背景の一部を透し去った穴を抜け穴と称し、時代の遡る作ではその古雅な様子や、目貫裏面の様子(裏行)も見どころとされている。目貫の裏側中央には足(根)と呼ばれる突起があり、これが柄に据え込まれてずれの防止とされる。足の付け根には力金(四ツ根)と呼ばれる補強のための小金属片が付けられている。足の構造は単純な棒状とされたものが多いが、片方が棒状でもう一方が筒状の、陰陽根と呼ばれる造りもある。陰陽根には形骸化したものもあるが、刀身の茎を固定させるための目釘の用を持たせる本来の目的から筒状の根(陰根)に棒状の根(陽根)を差し込むもの、また、雌雄の螺子が切られた形式もあ。銘文は、小形の金属板に刻したものを裏面に据え付ける短冊銘と、際端と呼ばれる図像の側面に刻される例が主であるが、稀に円筒状の陽根先端や裏側に直接刻された例もある。目貫は表裏二点で一体とされている。その表裏は、図柄主題の主(表)従(裏)、あるいは陰(裏)陽(表)、雌(裏)雄(表)などとなっており、ほとんどは向きあう構成である。
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