びまん性甲状腺疾患
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/12/23 05:51 UTC 版)
「頸部超音波検査」の記事における「びまん性甲状腺疾患」の解説
橋本病 橋本病の超音波像典型例では辺縁は鈍化し、表面に凹凸がみられ厚みが増し、内部エコーがびまん性に低下し、全体に粗いエコー像が特徴的である。低エコーの部分も一様ではなく、不均一なことが多い。内部エコーが著明に低い症例では前頸筋群との境界が不明瞭となる。また、内部エコーが正常に近い症例やまれに局所的な低エコーを呈するもの、腫瘤性病変を形成するもの(偽腫瘍形成)、また片葉の著明な萎縮を呈するものなど多彩な像を呈することも知られている。内部エコーの低下は病状の進行とともに起こる濾胞構造の破壊、リンパ球の浸潤や線維化などの組織学的変化を反映していると考えられている。抗Tg抗体や抗TPO抗体など抗甲状腺抗体の高力価例や機能低下例に多い。また内部エコーの低下した甲状腺機能正常例は将来機能低下に移行しやすいことも知られている。偽腫瘍形成に関しては1cm前後の高エコーを呈する境界不明瞭な充実性腫瘤像の場合が多いが、多彩な像(多発結節形成、嚢胞形成や石灰化など)を呈しうるため、穿刺吸引細胞診が鑑別に重要である。しばしばリンパ節腫大も伴い、軽度の傍気管を含む甲状腺周囲リンパ節腫大は橋本病で比較的よく遭遇する所見である。悪性リンパ腫の合併はしばしば触診ではわかりにくく超音波検査でわかることが多い。 橋本病における甲状腺の血流の程度は甲状腺機能状態、特に甲状腺刺激ホルモン(TSH)と相関する。一般にTSHは血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を増加させることが知られている。甲状腺機能低下状態となるとTSHが増加し甲状腺内の血流が増加する。バセドウ病のカラードプラ所見に似るため鑑別が必要となる。 萎縮性甲状腺炎 バセドウ病 EOG(Euthyroid Ophthalmic Graves病) 無痛性甲状腺炎 亜急性甲状腺炎 単純性甲状腺腫 軽度のびまん性甲状腺腫を認める以外、内部エコーは全く正常である。局所病変も少数の微小嚢胞を除いて認められない。ドプラ法でも通常は血流の異常所見は認められない。
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