つくばエクスプレス総合基地とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > つくばエクスプレス総合基地の意味・解説 

つくばエクスプレス総合基地

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/05 10:47 UTC 版)

つくばエクスプレス総合基地
つくばエクスプレス総合基地
基本情報
日本
所在地 茨城県つくばみらい市筒戸3500[1]
鉄道事業者 首都圏新都市鉄道
帰属組織 技術部 車両管理所[2]
併設区所 乗務員養成所[3]
最寄駅 守谷駅
管轄路線 つくばエクスプレス
管轄車両 TX-1000系TX-2000系TX-3000系
開設 2005年8月24日
車両基地概要
敷地面積 189,779.19 m2[2][4]
留置線本数 25本
(縦列留置線は1本としてカウント)
検査線本数 月検査線 1本
列車検査線 2本
洗浄線本数 2本
車両洗浄装置
その他設備 入出庫線 2本
引上線 1本
臨修線 1本
転削線 1本
授受線 - 気吹線 1本
工場線 3本
最大収容両数 198両(6両×33本)[2]
配置両数
合計 138両
備考 交通新聞社「鉄道ダイヤ情報」2005年9月号 p.21参照
テンプレートを表示

つくばエクスプレス総合基地(つくばエクスプレスそうごうきち)は、茨城県守谷市松並つくばみらい市筒戸にまたがる(所在地はつくばみらい市)、首都圏新都市鉄道車両基地。略称は「TX総合基地」

概要

首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス守谷駅北側にある、同線の車両基地で、2005年の同線開業とともに開所した。総面積は、189,779.19 m2TX-1000系14編成84両とTX-2000系23編成138両(2012年4月現在)の検査・修繕を行う基地であり、法定検車・車体清掃及び運転士乗務員養成所も、当総合基地内に設置されている[3]

総合基地を守谷駅付近に設置したのは、守谷駅が直流電化区間(秋葉原駅 - 守谷駅間)と交流電化区間(守谷駅 - つくば駅間)の境界に当たるためである(実際の電化方式の境界であるデッドセクションは、守谷駅 - みらい平駅間にある)。つくばエクスプレスで使用されている車両のうち、TX-1000系が直流専用、TX-2000系及びTX-3000系が交流直流両用であり、守谷駅以南であればそれらの両方が直接乗り入れ可能であるため、無理なく法定検車が可能になる。守谷駅よりも東京寄りでは宅地開発が進んでいてまとまった土地を確保することが難しく、一方、みらい平駅よりもつくば寄りでは交流電化区間に入ってしまい、直流専用のTX-1000系を回送するのに専用軌道車が必要となってしまうため、当地が選定された。

当車両基地では各種検査として、列車検査、月検査、重要部検査、全般検査のほか、車両清掃、車輪転削、臨時修繕などが実施されている[2]。車両基地構内は自動運転には対応しておらず、手動運転を行っている[2]

構内には京成車両工業くぬぎ山事業所守谷出張所およびJR東日本テクノロジー大宮支店守谷車両センターが事業所を構えており、協力会社として両社に検修業務の一部を委託している。

構内

入出庫線が2線あり、構内引上線が1本ある[5]。西側に総合管理所がある[5]。構内は南側から[5][2]

  • 保守基地線(保線機械置場)が4線、材料置場
  • 留置45 - 47番線(TX-3000系導入に合わせて2019年新設[2][6]
  • 留置1 - 7番線
  • 留置8 - 15番線
  • 留置16 - 20番線
  • 留置21→41番線(手前→奥側。1線に2編成留置可能[2]
  • 留置22→42番線(手前→奥側。1線に2編成留置可能[2]
  • 機械洗浄線(車両洗浄装置、薬剤散布用と水洗い用に分かれている)→23・24番線(洗浄1・2番線) - 手洗浄作業台設置
  • 25番線(臨修線) - 3両長の臨修庫があり、庫内は台車抜取装置によって台車・主電動機の修繕が可能[2]
  • 26番線(月検線) - 26から28番線は検車庫内[5]。26番線(月検査線)のみ直流1,500Vに加えて交流20,000V,50Hzが加圧できる[5]。このほか、工場A線(51番線、整備線)も同様に交流が加圧できる[5]
  • 27番線(列検1番線)・28番線(列検2番線)
  • 29番線(転削線) - 車輪転削庫があり、車輪踏面の削正を行う[5][2]
  • 30番線(授受線)→31番線(気吹線) - シート格納庫と床下洗浄庫があり、座席シートの清掃と床下に付着した塵埃を圧縮空気(高圧空気)により気吹(きぶき)清掃を行なう[5]
  • 工場A線(51番線、整備線)、工場B線(52番線、入出場1線)、工場C線(53番線、入出場2線)
    • 31番線から折り返して、車両工場(工場棟)と車体更新場に繋がる[5]

入出庫線複線化

総合基地から守谷駅構内へつながる入出庫線は、開業以来単線となっていた[2]。そのため、入出庫線内で車両故障などが発生した場合に、車両の入出庫ができず大規模な輸送障害となる恐れが高いことから、そのリスク低減のために、2013年度から入出庫線を複線化する工事が行われ[1]、2017年3月19日から供用開始となった[7]

車体更新場

2017年10月2日、約40億円かけた「車体更新場」を稼働させた。老朽化した車両の大規模修繕を行う[8][9]。そこに設置された電動シャッターが、最大の水平引きシャッターとしてギネス世界記録に認定された[10]

イベント

毎年11月上旬に、「つくばエクスプレスまつり」として一般公開を行っている。その際に基地まで直通する臨時列車が運転される。この列車に乗る場合は、守谷駅まで有効な乗車券が必要であり、PASMOSuicaなどのICカードは利用できない。また、大半の列車が通常運行されている秋葉原駅 - 守谷駅間の普通列車の基地への(または基地からの)回送を乗客に開放しているものである。基地内には旅客用のホームがないため、ドアカットで一部のドアのみ扱う。

例年同日に、近隣に通っている関東鉄道常総線水海道車両基地一般公開も行われている。そのため、つくばエクスプレス総合基地と関東鉄道水海道車両基地を往復するバスが運転される。ただし、2015年(平成27年)は同年に発生した関東・東北豪雨による被災のため水海道車両基地の一般公開が中止され、代替措置としてつくばエクスプレスまつりに関東鉄道のPRブースを設けることで対応した。

事故

2019年(平成31年)2月28日16時10分ごろ、総合基地内の留置線で列車の過走防護機能[注 1]の動作確認試験(ORP試験)を行っていたところ、停止位置で止まらずに線路終端の車止めに衝突し、先頭車両が脱線する事故が発生した[11][12][13]

脚注

注釈

  1. ^ 終端駅など過走距離が取れない箇所において、所定の制限速度を超えた場合に、自動的に非常ブレーキを動作させる安全装置のこと。自動列車制御装置#つくばエクスプレスも参照のこと。

出典

  1. ^ a b 「入出庫線の複線化」および「守谷駅追越設備の新設」工事を開始しました”. 首都圏新都市鉄道株式会社. 2014年5月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月13日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 交通新聞社『鉄道ダイヤ情報』2019年4月号シリーズ車両基地vol.60「首都圏新都市鉄道 つくばエクスプレス総合基地」pp.80 - 87。
  3. ^ a b 首都圏新都市鉄道乗務員養成所の開所について(TXからのお知らせ)。
  4. ^ 首都圏新都市鉄道(株) つくばエクスプレス総合基地(岩崎電気納入事例・インターネットアーカイブ)。
  5. ^ a b c d e f g h i 交通新聞社『鉄道ダイヤ情報』2005年9月号特集「開業目前!つくばエクスプレス」内「全車両の検修を担うつくばエクスプレス総合基地」pp.21 - 23。
  6. ^ TXかわら版2019.3(春) (PDF) 」(インターネットアーカイブ)。
  7. ^ “つくばエクスプレス、駅と車両基地結ぶ線路の複線化でリスク軽減 3月19日から”. Response. (株式会社イード). (2017年3月10日). https://response.jp/article/2017/03/10/291913.html 2017年4月9日閲覧。 
  8. ^ TX、開業12年 車両老朽化 対策急ぐ 40億円かけ修繕施設”. 日本経済新聞 (2017年10月20日). 2023年6月13日閲覧。
  9. ^ 車体更新場初公開&ステージイベント初開催「つくばエクスプレスまつり2017」を開催します!!〜11月3日(金・祝)はTX総合基地へ行こう〜”. 首都圏新都市鉄道プレスリリース (2017年10月6日). 2017年10月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月13日閲覧。
  10. ^ つくばエクスプレス車両基地のシャッター、ギネス世界記録に”. レスポンス (2017年9月29日). 2023年6月13日閲覧。
  11. ^ 基地内試験中に発生した車両脱線事故に関する調査結果と対応について” (PDF). 首都圏新都市鉄道 (2019年7月16日). 2019年10月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月13日閲覧。
  12. ^ つくばエクスプレスの脱線、試験車両のブレーキ力が十分でなく発生”. RailLab ニュース (2019年7月17日). 2019年10月12日閲覧。
  13. ^ “つくばエクスプレス、基地内で脱線 車止めにぶつかる”. 朝日新聞デジタル. (2019年2月28日). https://www.asahi.com/articles/ASM2X6DRKM2XUTIL05D.html 2019年10月12日閲覧。 

参考文献

  • 交通新聞社鉄道ダイヤ情報
    • 2005年9月号特集「開業目前!つくばエクスプレス」内「全車両の検修を担うつくばエクスプレス総合基地」pp.21 - 23
    • 2019年4月号シリーズ車両基地vol.60「首都圏新都市鉄道 つくばエクスプレス総合基地」pp.80 - 87

外部リンク

関連項目

座標: 北緯35度57分50.5秒 東経139度59分31.7秒 / 北緯35.964028度 東経139.992139度 / 35.964028; 139.992139




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「つくばエクスプレス総合基地」の関連用語

つくばエクスプレス総合基地のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



つくばエクスプレス総合基地のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのつくばエクスプレス総合基地 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS