さん‐しょり【酸処理】
酸処理
【英】: acid treatment / acidizing
同義語: acidizing
坑井刺激法の一つである。酸を油層と接触させたり、油層中に圧入することにより、油層障害を取り除き、油層本来またはそれ以上の生産性を得るために行われる方法である。酸処理の種類は次の三つに大別される。 (1) アシッド・ウォッシング(acid washing)またはアシッド・ソーク(acid soak):酸を坑井内に静置するのみで、油層中には圧入せず、スケールなどを溶解することを目的とする。 (2) マトリックス・アシダイジング(matrix acidizing):酸を油層中に圧入し、岩石および孔隙{こうげき}内の粘土鉱物を溶解し、油層の浸透率を向上させる。 (3) アシッド・フラクチャリング(acid fracturing):酸を岩石の破砕圧力以上の圧力で油層に圧入し、岩石の破砕を起こすと同時に、岩石を溶解し、油層の浸透率を向上させる。主に、浸透率の低いタイトな油層を対象として行われる。 酸処理の対象となる岩石は、酸に溶解する炭酸塩岩(石灰岩、苦灰岩など)が一般的で、15 %あるいは 28 %の塩酸が使用されている。砂岩油層の場合、粒間粘土鉱物の除去を主な目的として、弗酸{ふっさん}と塩酸の混合物が使用されることもある。最近では、高温油層の酸処理や油層内奥深くへの酸処理のため、反応速度の遅い蟻酸{ぎさん}、酢酸などの有機酸も使用されている。通常、酸のみではなく、防食剤、遅効剤、沈殿防止剤などの添加剤を混合して圧入する。 |

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