さまざまな生物種での例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/02 07:29 UTC 版)
「アンチセンスRNA」の記事における「さまざまな生物種での例」の解説
当初、asRNAはプラスミド、バクテリオファージ、細菌のものなど、原核生物で発現するものが発見された。例えばプラスミドColE1では、RNA Iと呼ばれるasRNAが複製を制御し、プラスミドのコピー数の決定に重要な役割を果たしている。ColE1の複製はRNA IIと呼ばれるプライマーRNAの転写に依存している。RNA IIは転写されるとそのDNA鋳型と対合し、その後RNase Hによって切断される。asRNAであるRNA Iが存在する場合、RNA IとRNA IIは二本鎖を形成し、RNA IIのコンフォメーションが変化する。そのため、RNA IIはDNA鋳型と対合することができず、ColE1のコピー数は低下する。バクテリオファージP22では、asRNAであるsarがAntの発現を制御することで、溶菌サイクルと溶原サイクルの間の調節を補助する。asRNAは原核生物で発現するもの以外にも、植物で発見された。植物におけるasRNAによる調節で最もよく研究されている例は、Flowering Locus C(英語版)(FLC)遺伝子に関するものである。シロイヌナズナArabidopsis thalianaのFLC遺伝子は、花成(floral transition)を誘導するさまざまな遺伝子の発現を阻害する転写因子をコードしている。寒冷な環境では、FLC遺伝子のasRNAであるCOOLAIRが発現し、クロマチン修飾を介してFLCの発現を阻害することで開花が可能となる。哺乳類細胞におけるasRNAによる調節の典型的な例は、X染色体の不活性化である。asRNAであるXistはPRC2をリクルートし、X染色体のヘテロクロマチン化を引き起こす。
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