【航空巡洋艦】(こうくうじゅんようかん)
航空母艦の航空機運用能力と、巡洋艦の戦闘力を兼ね備えるべくつくられた艦艇。
ただし実際には性能が中途半端になるため、実用例はほとんどない。
第二次世界大戦中、日本海軍は重巡洋艦「最上」の後部甲板を飛行甲板に改装して航空巡洋艦に仕立てあげ、また、スウェーデン海軍では「ゴトランド」を新造した。
ただし、これらの艦に搭載された機体は水上偵察機であったため、実質的には水上機母艦に近かった。
そして戦後には、ソ連軍がVTOL機を運用するキエフ級や、CTOL機を運用可能なアドミラル・オブ・ザ・ソビエトフリート・NG・グズネツォフといった事実上「航空母艦」である艦を、「航空巡洋艦」として就役させた。
これには、一般にふたつの理由が言われている。
ひとつは、ソ連で艦載機として開発された機体がいずれも搭載力が不足していたうえ、ミサイルの小型化が進められなかったことから、それらの艦の艦載兵装が異常に強力となってしまったため、純粋な航空母艦とは言えなかったこと。
もうひとつは、旧ソ連も参加して1936年に締結された「モントルー海峡条約」にて、トルコ領に面し、黒海と地中海をつなぐボスポラス海峡における戦艦・航空母艦といった大型戦闘艦艇の航行が禁じられていることと、ロシアが黒海沿岸以外に大型艦を建造可能な造船所及び不凍港を持っていないことから、他国のように純粋な航空母艦を保有することが出来ない、という政治的事情が作用している。
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