おひつじ座イオタ星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/10 22:05 UTC 版)
おひつじ座ι星 ι Arietis |
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星座 | おひつじ座 | |
見かけの等級 (mv) | 5.09[1] | |
位置 元期:J2000.0 |
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赤経 (RA, α) | 01h 57m 21.0547626s[2] | |
赤緯 (Dec, δ) | +17° 49′ 03.120244″[2] | |
視線速度 (Rv) | -5.95 km/s[2] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 34.76 ミリ秒/年[2] 赤緯: -22.95 ミリ秒/年[2] |
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年周視差 (π) | 6.27 ± 0.33ミリ秒[2] (誤差5.3%) |
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距離 | 520 ± 30 光年[注 1] (159 ± 8 パーセク[注 1]) |
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絶対等級 (MV) | -0.9[注 2] | |
おひつじ座ι星の位置(丸印)
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物理的性質 | ||
半径 | 20.27 R☉[3] | |
質量 | 3.17 M☉[3] | |
表面重力 | 0.2 G[3][注 3] | |
自転速度 | 3.33 km/s[4] | |
スペクトル分類 | K1p[5] | |
光度 | 238.61 L☉[3] | |
表面温度 | 5,033 K[3] | |
色指数 (B-V) | 0.921[1] | |
色指数 (U-B) | 0.70[6] | |
色指数 (V-I) | 0.95[1] | |
金属量[Fe/H] | -0.10 ± 0.10[7] | |
年齢 | 3.5 ×108 年[3] | |
軌道要素と性質 | ||
離心率 (e) | 0.356 ± 0.022[8] | |
公転周期 (P) | 1567.66 ± 0.62 日[8] | |
他のカタログでの名称 | ||
おひつじ座8番星, BD+17 289, FK5 2132, HD 11909, HIP 9110, HR 563, IRC +20034, SAO 92721[2] | ||
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おひつじ座ι星(おひつじざイオタせい、ι Arietis、ι Ari)は、おひつじ座にある連星系である。見かけの等級は5.09と、肉眼でかろうじてみえる明るさである[1]。ヒッパルコス衛星が測定した年周視差を基に、太陽系からの距離を計算すると、およそ520光年となる[2][注 1]。
星系
おひつじ座ι星は、1922年にリック天文台のキャンベルによって、視線速度が変化していることが報告され、その後リック天文台で継続的に視線速度が測定された結果、ケプラー運動を示す視線速度曲線が得られ、軌道要素も精度良く求まり、分光連星であることが明らかになった。公転周期は約1,568日、軌道離心率は0.36と推定されている[8]。主星と伴星は、スペックル干渉法を用いても分離できていないが、月による掩蔽を利用した推定では、接触方向に離角0.01秒と求められた[6][9]
特徴
おひつじ座ι星のスペクトル型は、K1pとされている[5]。化学特異星であり、スペクトルの特徴としては、水素及び波長4290Åの吸収線は輝巨星並の強さである一方、CN吸収帯は辛うじて巨星といえる程度の強さで、ストロンチウムイオンの吸収は更に強くない、ということが挙げられる[10]。恒星の色からは、主系列星であると推定されるが、距離がわかってくると、絶対等級が主系列ではありえない明るさであることが示された。この矛盾の原因の一つは、おひつじ座ι星が分光連星であることにあるとみられる。主星と伴星の等級差が、例えば輝星星表では1等級と記載されており、それだと伴星は、質量が太陽の2.8倍程度のA型主系列星と見積もられる[11][6]。一方で、連星の相手の星は白色矮星ではないかという意見もある[12]。K型星の方は、質量が太陽の3.2倍程度、半径が太陽の20倍程度、表面温度は5,000K程度の巨星とみられる[3]。
脚注
注釈
- おひつじ座イオタ星のページへのリンク