おおぐま座パイ1星とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > おおぐま座パイ1星の意味・解説 

おおぐま座パイ1星

(おおぐま座3番星 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 15:50 UTC 版)

おおぐま座π1
π1 Ursae Majoris
星座 おおぐま座
見かけの等級 (mv) 5.63[1]
変光星型 りゅう座BY型[1][2]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  08h 39m 11.7043265307s[3]
赤緯 (Dec, δ) +65° 01′ 15.268273190″[3]
視線速度 (Rv) -12.826 km/s[3]
固有運動 (μ) 赤経: -27.158 ± 0.058 ミリ秒/[3]
赤緯: 87.546 ± 0.112 ミリ秒/年[3]
年周視差 (π) 69.2004 ± 0.0652ミリ秒[3]
(誤差0.1%)
距離 47.13 ± 0.04 光年[注 1]
(14.45 ± 0.01 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 4.86[4]
おおぐま座π1星の位置(丸印)
物理的性質
半径 0.95 R[5]
質量 1.03 M[5]
表面重力 29 G[6][注 2]
自転速度 9.7 km/s[7]
自転周期 4.9 [5]
スペクトル分類 G1.5 V[1]
光度 0.97 L[8]
表面温度 5,850 K[5]
色指数 (B-V) 0.62[1]
色指数 (V-R) 0.52[7]
金属量[Fe/H] -0.03 ± 0.06[6]
年齢 3 ×108[9]
他のカタログでの名称
おおぐま座3番星, BD+65 643, GJ 311, HD 72905, HIP 42438, HR 3391, SAO 14609[3]
Template (ノート 解説) ■Project

おおぐま座π1(おおぐまざパイ1せい、π1 Ursae Majoris、π1 UMa)は、おおぐま座恒星である。見かけの等級は5.63で、年周視差を基に計算された太陽系からの距離は、約47光年である[1][3][注 1]。比較的若い太陽型星で、おおぐま座運動星団に属するとみられる[8][7]りゅう座BY型変光星に分類される変光星で、X線フレアも観測されている[2][10]

特徴

大きさの比較
太陽 おおぐま座π1

おおぐま座π1星は、単独の黄色主系列星で、スペクトル型はG1.5 Vと分類される[1]質量半径有効温度、いずれも太陽と僅かに違うだけの、太陽とよく似た太陽型星で、ソーラーアナログ、或いはソーラーツインとされることもある[5][6][9]。但し、年齢は太陽より40億年以上若いため、おおぐま座π1星は、若い時代の太陽について調べられる太陽の「代理」星としてみられており、例えば、様々な年齢のソーラーアナログを観測し、太陽の内部構造や放射の進化を研究する“The Sun in Time”計画などで、数多くの観測が行われている[5][1]

所属・年齢

おおぐま座π1星は、その空間運動の向きや大きさからおおぐま座運動星団の一員ではないかとされ、多くの追試を経た後、それは強く支持されている[11][7][9]。そして、おおぐま座運動星団に属することから、おおぐま座π1星の年齢も星団と同じで、およそ3億年と推定される。星団とは別に、おおぐま座π1星自身の彩層スペクトルから見積もった年齢もほぼ同様である[9]

フレア

おおぐま座π1星からは、X線でフレアが検出されている。初検出は、欧州宇宙機関のX線天文衛星EXOSATによるもので、連星でも閃光星でもない太陽型星からX線フレアが検出されたのは、これが初めての例であった[10]。また、おおぐま座π1星では、X線での放出エネルギーが通常の太陽フレアよりも2桁高い、スーパーフレアも検出されたことがある[12]

変光

10年に及ぶ測光観測の結果、おおぐま座π1星は、周期的に変光していることが明らかになった。変光の振幅は、観測する波長によって0.020等級から0.035等級までと小さく、変光周期はおおぐま座π1星の自転周期とほぼ一致することから、おおぐま座π1星は回転変光星、中でもりゅう座BY型変光星に分類されている[1][2]

赤外超過

おおぐま座π1星からは、赤外超過が検出されており、恒星の周囲には残骸円盤英語版が存在するものと考えられる[13]。赤外超過は、遠赤外で顕著であるが、中間赤外でも恒星の近く(∼0.3au)に高温のケイ酸塩塵が存在する兆候が示されており、の供給源となる微惑星円盤は、内側の半径3au程度に広がる温かい円盤(~∼200K)と、外側の半径100au程度に広がる冷たい円盤(∼50K)とが存在する可能性が考えられる[14]

名称

アメリカのアマチュア博物学者リチャード・ヒンクリー・アレンによれば、おおぐま座ο星に冠されている、獣の「鼻づら」を意味するムシダ(Muscida)という固有名が、おおぐま座π1π2にも充てられているという。また、カズウィーニーは、おおぐま座ο星、π2星、σ1英語版σ2英語版A星スペイン語版d星英語版と共に、ガゼルを意味する Al Ṭhibā というアステリズムとしていたという[15]ジェット推進研究所の技術報告に掲載された“A Reduced Star Catalog Containing 537 Named Stars”では、Althiba という名称がおおぐま座の7つの恒星に付与されており、π1星は Althiba II となっている[16][注 3]

脚注

注釈

  1. ^ a b c パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 出典での表記は、 08h 39m 11.7043265307s, +65° 01′ 15.268273190″




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  おおぐま座パイ1星のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「おおぐま座パイ1星」の関連用語

おおぐま座パイ1星のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



おおぐま座パイ1星のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのおおぐま座パイ1星 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS