『One3』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 02:23 UTC 版)
ケージは沈黙についての3番目の曲も考え、1976年にアイデアを語っている。2人以上の人間がゲームをしながら、アンプで音を増幅するという内容である。ここで想定されているゲームはチェスやブリッジなどの音をあまり発しない種類で、ケージはゲームにおける沈黙が音に満ちた沈黙を表現すると考えた。 1989年の京都賞受賞の記念コンサートでは、沈黙についての3番目の曲として『One3』という曲が発表された。コンサートを企画した藤島寛はケージに『4分33秒』の演奏を依頼し、ケージは11月14日の名古屋市美術館のコンサートで『4分33秒』の続編にあたる『One3』を初演した。正式なタイトルは『One3 = 4′33″ (0′00″) + 』であり、ケージによれば等式の左側が曲名、右側がその説明で『4分33秒』と『0'00”』を含んでいる。ト音記号は作曲家ソフィア・グバイドゥーリナのGを表し、グバイドゥーリナの概念である「内なる時計」に従うという指示である。ケージは吹き抜けの会場に設置したマイクで音を拾い、アンプで増幅した。これによって美術館を訪れる人々やコンサートの聴衆による音が満ちた。演奏時間は演奏者が体感で4分33秒を測るというもので、当日のケージの「4分33秒」は、時計における約12分だった。
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