『笈埃随筆』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/09 00:45 UTC 版)
塘雨は日本列島の南端から北端迄を巡遊した記録を『笈埃随筆』として纏め、それは「稿を脱せ」ないままに終わったものの、遺稿12巻が残されている。各地で見聞した奇談・珍説に満ち、旅程とは無関係に各記事を配している点は旅日記的な一般の紀行と異なって画期的であるものの、各記事に文献からの引用等を施している為に却って見聞の直接性を稀薄にしている点が惜しまれる。 塘雨と同様の旅に出た橘南谿の著した『東遊記』『西遊記』両書は世間に好評をもって迎えられ、何度も板行を重ねたが、その執筆には塘雨の旅と『笈埃随筆』の影響が大であったと指摘でき、両書の板本においては全く『笈埃随筆』に拠った章も存在する。一方で塘雨も『笈埃随筆』中に南谿の両書からの引用を行っており、両者の交友の密であった事が窺える。 なお、現伝『笈埃随筆』中にはしばしば「嘉栗云」といった補記があるが、その嘉栗は仙果亭嘉栗(紀上太郎)の事と思われる。
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