『炎舞』(1925年(大正14年)、山種美術館蔵、重要文化財)
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「速水御舟」の記事における「『炎舞』(1925年(大正14年)、山種美術館蔵、重要文化財)」の解説
絹本著色、額装(もと軸装)、120.4×53.7センチ。蛾が炎に魅せられているかのように舞う、緻密な写実と幻想が融合した作品。背景の闇は黒に朱を混ぜ、礬水(どうさ)を引かずに絵具が絹面ににじむようにして描いたもので、単なる黒ではない深い闇を表現している。御舟はこの背景について「もう一度描けと言われても二度とは出せない色」だと、義兄の吉田幸三郎に語った。描かれている蛾は滞在先の軽井沢で写生したもので、いずれの蛾も真正面向きに描かれているにもかかわらず、生きて飛んでいる感じを表現している。炎の描写には、日本の伝統的な絵巻物や仏画の炎の描写の影響が指摘されている。生物に造詣の深い昭和天皇は、この画を見て「蛾の眼が生きているね」と言ったという。他に御舟が蛾を描いた作品として、『粧蛾舞戯』という作品がある(「昆虫二題」と題する双幅の作品の左幅。右幅は「葉蔭魔手」という題の蜘蛛を描いた作品)。三島由紀夫の小説『金閣寺』の新潮文庫版のカバーのデザインに起用されている。
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