「芸」の字について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 23:53 UTC 版)
「芸」を「ウン」と読むのは常用漢字表にない読みであるが、間違いではない。園芸や芸術の芸(ゲイ)はかつて「藝」という字体であり、当用漢字表の公布によって字体が「芸」に改められた字である。「芸亭」の芸(ウン)は芸/藝(ゲイ)とは異なる系統の字であり、「くさぎる」(雑草を刈る)や「ヘンルーダ」(書物の虫を防ぐのに使う香草)の意味を持つ字である。したがって、芸(ウン)と芸/藝(ゲイ)は字形は全く同一であるが別の意味を持つ字(同形衝突)である。同様の例として、欠(欠=ケンと欠/缺=ケツ)や缶(缶=フと缶/罐=カン)などがある(新字体#既存の字との衝突を参照)。 一部の書籍では芸(ウン)の活字の草冠を「十」を横に二つ並べた4画で表現して芸/藝(ゲイ)と区別している。これは、芸/藝(ゲイ)は常用漢字であるが芸(ウン)は常用漢字ではないという考え方に基づくものであり、そのため草冠を常用漢字表に従わずに康熙字典に厳密に従って4画で表現し、芸(ウン)を芸/藝(ゲイ)と区別しようとしたものである。しかし、常用漢字表は字形と音訓のみを定め、字義を定めていないため、芸(ウン)が常用漢字にない字であると断定することはできない(常用漢字表にある字の、常用漢字表にない音訓である可能性も捨てきれない)。また、JIS X 0208では字形の同じ字は同じ文字コードで表すことになっているため、「芸」という字形の字は芸(ウン)と芸/藝(ゲイ)の両方を表し、互いに区別することはできない。 いずれにしても、芸(ウン)の草冠を4画で表現するのは芸(ウン)と芸/藝(ゲイ)をことさら区別しようという意図によるものであり、本来は単なる活字のデザイン差、手書きの書き癖の違い程度のものであるため、草冠の形の違いによって字が区別されることはない。
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