「淨の池」ノ魚類ヲ天然記念物トナスヲ要ス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 06:05 UTC 版)
「浄ノ池特有魚類生息地」の記事における「「淨の池」ノ魚類ヲ天然記念物トナスヲ要ス」の解説
調査報告書の結論として「浄の池」および「生息する魚類」に対し天然記念物に指定するよう黒田は結論付けている。池に生息する5種のうち、やがたいさぎ(コトヒキ)と、しまいさぎ(シマイサキ)の2種は他所でも普遍的に生息しているため、天然記念物として保護する必要はないものの、他の、おおうなぎ、おきふえだい、ゆごい、の3種は南洋を主な産地とし、伊東に所在する特定の池に棲み付いているのは珍しく、充分な保護を行う価値があるものとしている。また、浄の池は希少な生物群の生息地であるにも関わらず、容易に訪れることが可能な街中に位置する特異性を指摘し、同時に浄の池が個人所有地であるため、所有者による土地改変などの懸念を払拭する意味も含め、天然記念物に指定することの必要性にも言及している。 黒田による「淨の池」ノ魚類ヲ天然記念物トナスヲ要スとする文節の全文を下記に示す。 '此池ニ産スル魚類中しまいさぎトやがたいさぎノ二種ハ本邦内ニアリテ分布廣ク且ツ其数モ多キヲ以テ特ニ天然記念物トシテ保護ノ必要ナキモ他ノおほうなぎ及ビおきふえだひ並ニゆごひハ其分布(南洋、印度地方ニ主産シ本邦ニ達セルモノ)ヨリ見ルモ充分保護ノ値アリ且ツおほうなぎノ如ク偉大ナルモノハ明ニ天然記念物トシテ永遠ニ保存スベキニ値ス是等ノ魚類ハ伊豆地方ニハ決シテ稀ナルモノニハ非ラザルモ「淨の池」ノ如ク何人ニテモ容易ニ是等ノ魚類(大形ノモノノ意ヲ含ム)ヲ観察シ得ラル、場所ハ他ニ類例少キモノトス若シ今後所有者ノ考ヘ變ジテ此池ヲ埋メンカ此貴重ナル年經タルおほうなぎヲ初メ其他ノ魚類を失フコト明ラカニシテ再ビ之ト同一ノモノヲ補缺スルノ困難ナルハ云フマデモナキナリ此故ヲ以テ速カニ「淨ノ池」ト共に天然記念物トシテ指定ヲ要スルナリ' —「浄の池」ノ魚類ヲ天然記念物トナスヲ要ス 黒田長禮 こうして浄の池と、そこに生息する5種の異魚は、翌1922年(大正11年)3月8日付けで内務省告示「大正11年第49号」により、『淨の池特有魚類棲息地』の指定名称で天然記念物に指定された。
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