「対作品」の存在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/07 02:59 UTC 版)
『天平の面影』を発表した翌年の1903年の白馬会第8回展に、藤島は本作品の対作品となる、やはり楽器をモチーフとした『諧音』という作品を出品した。『諧音』は古代の絃楽器の「阮咸」を爪弾く女性を描いたもので、未完成であったにもかかわらず、評判はむしろ『天平の面影』よりも高いくらいであった。上田敏は雑誌『精華』に寄せた展覧会評で『諧音』を高く評価し、「前年天平時代の人物を描いたものよりも、今年は更に進歩されしものか、全図よく調和し、人物の姿勢自然にして、心を音楽の妙境に放遊させて居る心持が充分見える」と評している。同じ雑誌で蒲原有明も本作を高く評価し、「裸身の女、膝上に阮咸を載せ、右手を転移に措きて絃を整へ、左手にこれを弾き試みんとす」様子を描いたものだと述べている。 『諧音』は第8回白馬会展の後、藤島自身によって塗りつぶされたとされ、現存しない。なお、洋画家の児島虎次郎が『諧音』を模写したものが残っており、原画の面影を伝えている。
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