金 (姓)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/06 22:38 UTC 版)
回族の姓
起源
回族の金氏の多くは、祖先のムスリム名に由来するものか、賜姓によって金を姓としたものである。イブラヒムという名は古くは「亦不喇金」と漢訳されており、ここから漢姓として「金」を採ったのである。
また、他民族で金姓を持つ者がイスラム教に帰依する例もある。
各地の金氏
- 泉州金氏 - 多くは元末の泉州守将、金吉の末裔である。
- 大興金氏 - 北京の大興金氏は、回族の中でも名門とされる。清の康熙年間に武進士金懐瑋があり、その子孫からは多くの進士・挙人が出た。
- 考城金氏 - 祖籍は北京。のちに汴に移り、明末に黄河の決壊によって考城に移った。金楼東支・金楼西支という支族に分かれた。
著名な人物
- 金大車 - 明代の詩人。メッカ(麦加)出身で明太祖(朱元璋)から「金」姓を賜った人物を祖先に持つ。
満洲民族の姓
金姓は、女真族(満洲民族)の中では最も早く用いられた漢姓である。元末明初、火児阿万戸である阿哈出(本姓は古倫)は、漢姓として「金」を称した。朝鮮の『朝鮮王朝実録』によれば、鉄嶺北部女真の都夫失里千戸の火失貼木は金を姓としたという[4]。
満洲族が金(後金、のちに清)を建国すると、愛新覚羅氏(アイシンギョロ氏)などの皇族が南下した。「アイシン」(ᠠᡳᠰᡳᠨ)は「金」という意味の部族名に由来しており、清朝滅亡後、愛新覚羅氏の多くが漢語に翻訳した「金」姓に改めた。
満洲族の金姓は、もともとの愛新覚羅氏、金佳氏、精吉氏、精格理氏、索爾済氏、鈕祜禄氏、車勒庫車氏、錫爾馨氏、馬佳氏、索爾済氏などの氏族を含んでいる[4]。
また、旗人に編入された朝鮮族の金氏や漢民族の金氏、モンゴル族の阿穆尼布塔斯氏などが、満洲系の金氏に含まれる[4]。
著名な人物
- 金壁東 - 中華民国・満洲国の政治家。
- 金名世 - 中華民国・満洲国の政治家。
- 金光平 - 言語学者、女真文字研究者。
- 金啓孮 - 言語学者、歴史学者。金光平の娘。
- 金友之(愛新覚羅溥任) - 溥儀の末弟。教育家・著作家。
- 金毓嶂 - 地質学者。金友之の長男。
- 金溥聡 - 中華民国(台湾)の政治家。元中国国民党秘書長。
脚注
- 「※」印をつけたものは、訳出元に掲げられた出典であり、翻訳に際して参考にしてはいない。
- ^ “中国信息报 2022年11月11日 2版 - “百家姓”规模及其占全国总人数比重” (中国語). 中国信息报 (2022年11月11日). 2023年2月11日閲覧。
- ^ ““百家姓”人口占全国人口比重达84.55%” (中国語). 中国信息报 (2022年11月11日). 2023年2月11日閲覧。
- ^ “全國姓名統計分析”. 中華民国内政部. p. 281 (2018年10月). 2023年1月19日閲覧。
- ^ a b c 赵力:新版《满族姓氏寻根大全》及各姓氏中部分满族名人③ ※
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