蔚山級フリゲート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/03 16:53 UTC 版)
蔚山級フリゲート | |
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基本情報 | |
艦種 | フリゲート・護衛艦(FF) |
運用者 |
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建造期間 | 1980年 - 1993年 |
就役期間 | 1981年 - 就役中 |
計画数 | 10隻 |
建造数 | 9隻 |
前級 | 豆満級 |
次級 | 仁川級 |
要目 | |
軽荷排水量 | 1,500 t |
基準排水量 | 2,180 t |
満載排水量 | 2,300 t |
全長 | 102 m |
最大幅 | 11.5 m |
吃水 | 3.5 m |
機関方式 | CODOG方式 |
主機 |
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推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
最大速力 | 34ノット |
航続距離 | 4,000海里(15ノット巡航時) |
乗員 | 士官25名+下士官・兵120名 |
兵装 | 後述 |
レーダー | 後述 |
設計
1970年代、朴正煕政権は「自己完結型の国防力整備を目指した8ヶ年計画」を発表した。これは国内技術による艦隊建設を志向したものであり[1]、これに基づいて建造された、韓国初の国産大型水上戦闘艦が本級である[2]。
設計は、おおむね、並行して設計・建造された東海級コルベット(HDC-800型)と同系列のものとなっている。船型は平甲板型とされており、比較的乾舷の低い船体の上に4層と背の高い上部構造物が設けられている。復原性確保のため上構はアルミニウム合金製とされているが、それでも不足があり、就役後に固定バラストを追加搭載している。また艦内艤装には木材が多用されるなど、ダメージコントロールの面で問題が指摘されていた[3][4]。
主機関としては、巡航機としてドイツのMTUフリードリヒスハーフェン社製MTU 12V956 TB82ディーゼルエンジン(3,600馬力)2基、高速機としてアメリカ合衆国のゼネラル・エレクトリック社製LM2500ガスタービンエンジン(27,200馬力)2基を搭載し、減速機を介して2軸の可変ピッチ・プロペラを駆動するCODOG方式が採用された[5]。
装備
本級は、韓国海軍の水上戦闘艦として初めて艦対艦ミサイルを搭載するなど、重兵装を志向している。ただし基本的には砲熕兵器を主体とする砲装型フリゲートであり、就役時点から既に時代遅れの感は否めなかった[2]。
艦橋構造物後部には塔状の前檣が設けられている。その頂部には、前期型では砲射撃指揮と低空警戒兼用のシグナール社(現在のタレス・ネーデルラント社)製Xバンド・レーダーであるWM-28の卵型レドームが設置されていた。後期型では、やはりXバンドで動作するマルコーニ社製S-1810対空・対水上捜索用レーダーに変更されており、砲射撃指揮用としては、同社のS-1802が艦橋構造物上に設置された。また後檣上にはSバンドの対空捜索レーダーであるDA-05が設置されていた。なお、ソナーとしては、当初はシグナール社製、10キロヘルツ級のPHS-32を船底に備えていたが、のちにレイセオン社の同級機であるDE-1167に換装された[5]。
主砲としては、76mmコンパット砲を上構前端の01レベルと艦尾甲板上に1基ずつ設置されていた。これを補完する中口径機銃としては、当初はエリコンKCB 30mm機銃を連装に配した米エマーソン社製の有人砲塔であるEX-74を搭載しており、艦橋直前の02レベルに1基、艦橋構造物直後の同レベル両舷に各1基、上構後端の01レベルに1基の計4基が搭載された。後期型ではコンパット・フォーティー40mm連装機銃に変更され、艦橋直前の02レベルのほか、上構後端に大型の甲板室を設けて、その上面両端の02レベルに1基ずつの計3基を搭載した。
なお主兵装であるハープーン艦対艦ミサイルは、4連装発射筒2基に収容されて、煙突直後の01レベル両舷に搭載されている[3][5]。
兵装・電装要目
前期型 (FF-951〜956) |
後期型 (FF-957〜961) | |
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兵装 | 76mmコンパット砲×2基 | |
30mm連装機銃×4基 | 40mm連装機銃×3基 | |
ハープーンSSM 4連装発射筒×2基 | ||
Mk.32 3連装短魚雷発射管×2基 | ||
Mk.9 爆雷投下軌条×2条 (爆雷×計12発) | ||
レーダー | DA-05 対空捜索用 | |
ZW-06 対水上捜索用 | S-1810 対空・対水上捜索用 | |
WM-28 砲射撃指揮用 | S-1802 砲射撃指揮用 | |
ソナー | DE-1167 船底装備式 | |
電子戦・ 対抗手段 |
ULQ-11K電波探知装置 | |
Mk.137 チャフ・フレア発射機×4基 | ||
AN/SLQ-25 対魚雷デコイ装置 |
同型艦
艦名は、大韓民国の地方行政区画から採られている。
建造時期 | 番号 | 艦名 | 建造 | 進水 | 就役 | 退役 |
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前期型 | FF-951 | 蔚山(ウルサン) ROKS Ulsan |
現代重工業 | 1980年 4月8日 |
1981年 1月1日 |
2014年 12月30日 |
FF-952 | ソウル ROKS Seoul |
1984年 4月24日 |
1985年 6月30日 |
2015年 12月31日 | ||
FF-953 | 忠南(チュンナム) ROKS Chungnam |
Korea SEC | 1984年 10月26日 |
1986年 6月1日 |
2017年 12月27日 | |
FF-955 | 馬山(マサン) ROKS Masan |
韓国タコマ | 1984年 10月26日 |
1985年 7月20日 |
2019年 12月24日 | |
FF-956 | 慶北(キョンブク) ROKS Kyongbuk |
大宇造船海洋 | 1986年 1月15日 |
1986年 5月30日 | ||
後期型 | FF-957 | 全南(チョンナム) ROKS Chonnam |
現代重工業 | 1988年 4月19日 |
1988年 6月17日 |
2022年 12月30日 |
FF-958 | 済州(チェジュ) ROKS Cheju |
大宇造船海洋 | 1988年 5月3日 |
1990年 1月1日 | ||
FF-959 | 釜山(プサン) ROKS Pusan |
現代重工業 | 1992年 2月20日 |
1993年 1月1日 |
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FF-961 | 清州(チョンジュ) ROKS Chongju |
大宇造船海洋 | 1992年 3月20日 |
1993年 6月1日 |
輸出
台湾への輸出が構想されたがこれは実現せず、代わって採用されたのがフランス海軍のラファイエット級フリゲートをベースに独自兵装を施した康定級フリゲートである。
その後、バングラデシュにウルサン級を原形としたDW 2000H型(バンガバンドゥ)を1隻輸出することに成功した。しかし、運用すると数多くの欠陥が見つかった上に[6]、当時経営危機下にあった大宇財閥にあえて発注しリベートを受け取ったとして、バングラデシュ国内では発注時の首相までまきこむ汚職事件となった[7][8]。
- ^ 香田洋二「韓国海軍 その現況と将来 (特集・韓国海軍の現況)」『世界の艦船』第704号、海人社、2009年4月、75-81頁、NAID 40016485796。
- ^ a b 大塚好古「韓国海軍力の現況 (特集 朝鮮半島をめぐるシーパワー)」『世界の艦船』第780号、海人社、2013年7月、76-83頁、NAID 40019692165。
- ^ a b 「写真特集 今日の韓国軍艦」『世界の艦船』第704号、海人社、2009年4月、21-42頁、NAID 40016485791。
- ^ 「写真特集 今日の韓国軍艦」『世界の艦船』第780号、海人社、2013年7月、21-42頁、NAID 40019692113。
- ^ a b c Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. p. 409. ISBN 978-1591149545
- ^ 日本周辺国の軍事兵器 ハーリド・ビン・ワリード級フリゲイト(DW-2000H型)
- ^ “Another graft case against Hasina” (英語). The Tribune. (2002年8月9日)
- ^ “Ex-Bangladesh PM, navy chief charged with graft over Korean frigate deal” (英語). SPACEWAR. (2003年8月4日)
- ^ 허광무 (2017年4月12日). “'노병, 고향에 안식'…퇴역 울산함, 고래특구 장생포 전시” (朝鮮語). 연합뉴스 2018年6月28日閲覧。
- ^ a b “<첫 국산전투함 '울산함' 퇴역…역사 속으로>” (朝鮮語). www.yonhapnews.co.kr. 2018年6月28日閲覧。
- ^ “퇴역한 국산 1호 전투함 '울산함' 울산시에 전시” (朝鮮語). 중앙일보. (2016年6月22日) 2018年6月28日閲覧。
- ^ a b 이영재 (2017年12月27日). “국산 1세대 전투함 '충남함' 32년 임무 완수하고 전역” (朝鮮語). 연합뉴스 2018年6月28日閲覧。
- ^ “総合検索 | 聯合ニュース”. japanese.yonhapnews.co.kr. 2018年6月28日閲覧。
- ^ 장아름 (2018年6月19日). “해군 마산함서 탄약 해체 중 폭발…부사관 1명 사망(종합)” (朝鮮語). 연합뉴스 2018年6月28日閲覧。
- ^ “<첫 국산전투함 '울산함' 퇴역…역사 속으로>” (朝鮮語). www.yonhapnews.co.kr. 2018年5月12日閲覧。
- ^ 허광무 (2017年4月18日). “34년 영해 지킨 울산함, 안보 전시시설로 '제2의 삶'” (朝鮮語). 연합뉴스 2018年5月12日閲覧。
- ^ 허광무 (2017年4月12日). “'노병, 고향에 안식'…퇴역 울산함, 고래특구 장생포 전시” (朝鮮語). 연합뉴스 2018年5月12日閲覧。
- ^ 대표홈페이지, 울산이 부른다 울산관광. “관광명소 > 박물관/전시관 > 울산함 (상세보기) - 울산관광 홈페이지” (朝鮮語). tour.ulsan.go.kr. 2018年5月12日閲覧。
- ^ 이태수 (2017年11月22日). “해군 퇴역함 한강서 공원으로 부활…'서울함 공원' 개장” (朝鮮語). 연합뉴스 2018年5月12日閲覧。
- 1 蔚山級フリゲートとは
- 2 蔚山級フリゲートの概要
- 3 運用
- 4 外部リンク
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