目玉おやじ アニメにおける変遷

目玉おやじ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/21 04:06 UTC 版)

アニメにおける変遷

第1シリーズ・第2シリーズ

1期では現代っ子の気質を見せる鬼太郎を嘆いたり、2期では火車のような強力な妖怪を相手にすると知って「行くな」と言ったり、半魚人の罠でかまぼこになった鬼太郎のために借金までするなど、様々な面における親心が強い。幽霊族の生き残りということで、鬼太郎のことを「妖怪の中でも名門の生まれ」と鼻高々に語ることも[10]。鬼太郎に対し子煩悩を通り越して親バカな面も目立つ[11]。1期では瞳を開けたまま失神したり頭(眼球)全体から涙を流すなど、2期以降と表現が異なる描写もある。ねずみ男をうっとおしく思っていることが多く、顔を見ただけで文句を言うことも。2期からはねこ娘がレギュラーになり、彼女の世話になったり鬼太郎のピンチを二人で救うことも増える[11]。2期ではレンジャー部隊に憧れていた[11]

第3シリーズ

3期では黒目の中に幻(天童ユメコの祖母の代から現代までの歴史)を見せたり、黒目から光線を出して削り取られた名前を再現して見せるなど、アニメオリジナルの技を度々披露した。鬼太郎をべた褒めする親バカな面や過保護な面が少なくなり、自惚れる鬼太郎を戒めることもあった[11]。煙草を吸うシーンがあり[11]、ふくろさげに妖気を奪われ干からびたこともある[11]。鬼太郎とユメコの交際を応援する傾向にあり、デートの準備をしている所をからかったり、邪魔なねずみ男を食べ物で釣って二人きりにしたりしているなど世話焼きな父親としての面も見せた[10]。これは、3期の鬼太郎は母である岩子が人間という設定が地獄編で明らかにされたことによるもので、他期での目玉おやじは鬼太郎と人間の女の子との恋愛は(人間の寿命は長くても約100年であり、人間を愛しても妖怪の鬼太郎だけが残され孤独な思いはさせたくないと)反対する傾向にある。地獄編の回想場面で鬼太郎を授かった場面が描かれ、アニメで初めて目玉だけになる前(闘病中)の体がある姿が登場[11](ただし原作のような包帯姿ではなく、蒲団の中から髪と目と手が覗くのみ)。行方不明になった妻を捜すために、動かない体を捨て目玉になり、妻の墓と彼女が遺した鬼太郎を見付けたとされた。

第4シリーズ

4期では以前より表情がコミカルになり[11]、鬼太郎を心配したり[10]、鬼太郎をべた褒めする親バカな面や過保護な面が再び見受けられるようになった。鬼太郎が食べられたりしてしまうと愕然として涙を流すというパターンも多い。また、遊園地のジェットコースターを楽しむなど子供っぽい一面も描かれる[11]陰陽師・一刻堂の言霊で人形(目玉のオモチャと呼称)に変えられた(鬼太郎に「父さん」と呼ばれ元に戻った)。人の家にお邪魔した際に飲むように出されたお茶につかるのが定番化[11]。第21話で白粉婆の白粉を浴びた際は顔(瞳と虹彩)が無くなり、ねこ娘にてるてる坊主と間違われた。第28話で結膜炎にかかったことがある[11](ねこ娘が持ってきた目薬で治した)。

第5シリーズ

5期においてはマスコット的な役割を前面に出された。4期以降の少々過保護な言動に加えて、肥満を気にして様々なトレーニングを試す(蓄音機をルームランナーとして使用するが失敗した)、花火の爆音で気絶(その直後鬼太郎を救うため、命懸けで地獄の炎を借りたことで克服した)、売れないお笑いコンビ・タロウズの駄洒落を楽しみ連発(受けたのは目玉おやじだけ)するなど非常に俗っぽく「親父」らしい面が多くなった。目玉おやじが熱くなるシチュエーションが多く見られ、鬼太郎の手に負えないほど[10]。流行に割と敏感で、ミーハーな所も時折見せる。お笑い番組やテレビドラマなど人間界の娯楽に興味を持つが、数日後に飽きて別の番組に乗り換えるなどあまり長続きしないことも[10]。自転車を欲しがる鬼太郎のためにバイトして自転車を買ったこともある(ただし鬼太郎は自転車に乗れていない)。ネコ娘を鬼太郎の嫁にと考えている発言をしているが、その直後に親子して彼女にかなり失礼なことを言っており、妖怪には人間とは比べられならないほど長い寿命があることから無理強いしてはいない。

5作の設定を取り入れた漫画「妖怪千物語」四巻では、ネコ娘の料理を高く評価しているが、その料理を貶してたたき落としたねずみ男にバケツの水をぶっかけたり彼が逃げ去った後でも化け猫顔で唸りながらコマの枠線に噛みついたりしているネコ娘を見て、目玉おやじは鬼太郎の髪の中に避難し「将来は鬼嫁」と言っており、鬼太郎も苦笑しながら同意している。

放送終了翌年に田の中勇が死去したため、田の中が演じる目玉おやじは本作が最後となった。

第6シリーズ

6期は何かと鬼太郎の身を案じ、息子の不死性を信じながらも時におろおろとして涙を流すなどの愛情深さは変わっていない。ドライで閉鎖的な性格の鬼太郎とは対照的に好奇心旺盛で、スマートフォンに興味を示すなど人間世界に興味を持っている。一方、鬼太郎の窮地を救ってくれた犬山まなに対し、そっけない対応をする鬼太郎を叱りつけてきちんと礼を言わせたり[12]、時には説教をする(見上げ入道たちに騙された子供たち[注釈 6]や、元の世界に戻ることを拒む桃山雅と雅を引き留めようとした木の子たち)など、の厳しさを見せる。時々鬼太郎の女性に対する極端な鈍さを見て嘆くことも多く(ただし、目玉おやじ自身も女の子らしい意見をした猫娘に「女の子だったのか」と言うなどデリカシーのない一面がある[13]。)、鬼太郎に男の子として恋愛とかにも少しは関心を持って欲しいと内心願う部分もある。原作や従来のシリーズと異なり、本作では「西洋妖怪の事はよく判らんのじゃ」と言っており、自身の知識としても偏りがあり、日本国内においても西洋妖怪の事には謎な部分が多いような認識となっている。

第14話では、枕返しの「夢繰りの鈴」で大人たちを夢の世界に閉じ込めていた幽霊の少女(夢繰りの鈴の少女)の猛攻から鬼太郎を助けるべく、枕返しの協力で一時的に生前の本来の姿に変身して鬼太郎を救出し夢繰りの鈴の少女を退けた。本来の姿は砂かけ婆曰く元々「男前」とのことで、実際に当時の姿は頭身の高い銀髪の美男子(髪型は鬼太郎とほぼ同じ)であった(ただしこの顔つきはあくまで自身の理想の姿で映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』では本当の顔つきで登場)。作中でこの姿を実際に目撃確認できたのは、対峙した「夢繰りの鈴の少女」と「僅かながら意識が遠のく鬼太郎」の2者のみで[注釈 7]、生まれた時に既に目玉だけだった父の本当の姿を見たことが無い鬼太郎は、一度会って見てみたいと同話の冒頭で述べていた[注釈 8]。原作で登場しない「溶ける病」罹患前の姿が描写されたのは、全シリーズを通して初めてとなる。

その存在を全く知らなかった「名無し」とは、最終決戦においてようやく正体が確信できたものの、鬼太郎を守るべく怪物姿の名無しに押し潰されてしまう。しかし、その後も名無しの体内で鬼太郎を見守っており、名無しが成仏したことにより復活した。93話では『まぼろしの汽車』を発動したことで消滅したが、ねこ娘が過去改変に成功したことで生存する。

デザインと設定などはこれまでのシリーズと変わりはないが、田の中の後任として、初代鬼太郎を演じた野沢雅子が担当することになった。野沢は「鬼太郎が長年経ってお父さんになった、家族ができた、といううれしい気持ち」と語っている(番組公式ページ「スペシャル」内イベントレポートより)。

墓場

墓場編は1期の時代よりもずっと以前の年代が舞台で、第1話初登場時はまだ目玉おやじになっておらず、不治の病に侵されてミイラ男のように全身を包帯で巻いた状態である本体の姿だった。1話の中盤で肉体は滅びるが、生まれてくる鬼太郎の事が心配なあまり溶け落ちた左目に小さな体と手足が生えて、その部分だけが蘇生する事で所謂「目玉親父」となった。鬼太郎ともども原作初期のややアナーキーな性格を反映しているため、目玉になってからも(本編内の時間軸上)後年のシリーズで特徴の一つともなる「年齢の高さを感じる言動」が少なく、目玉が血走ったり、鬼太郎に物凄い剣幕で怒ったり、ねずみ男に口汚く啖呵を切ったりしている[注釈 9]。恋にうつつを抜かして大切なちゃんちゃんこを偽物にすり替えられるという、幽霊族としての自覚に欠ける鬼太郎の不甲斐なさを嘆いて自殺未遂を起こしたこともある(ただし、息子の目の前でヤカンのふたを開けて中へ飛び込むという方法だったため、驚いた鬼太郎により即座に救出された)。


注釈

  1. ^ 「わしは鬼太郎の父親じゃ」「わしは目玉おやじじゃ」などとしか自称しない。
  2. ^ ワンカップ風呂、湯飲み風呂、皿風呂、鍋風呂、カキ氷風呂、イチゴパックを使った炭酸水プール、砂風呂、泡風呂、風呂、甘酒風呂、柚子風呂、紅茶風呂(お気に入りは猫娘が持ってきたアールグレイ)、コーヒー風呂、トウモロコシ茶風呂、玄米茶風呂、ほうじ茶風呂などがある。
  3. ^ 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』では生前の姿で温泉に浸かる場面もあり、この頃から風呂好きだったと描写されている。
  4. ^ 担当声優の田の中は「食べたところを見たことがない、一度たくさん食べてるところを見たい」と語っており、第5作で叶っている。
  5. ^ 原作初出時で次回に当たる『赤舌』終盤で現れ「わしが妖怪病院に行っている間に…」との台詞から、この時まで入院していた模様。
  6. ^ 目玉おやじの話癖で長引きそうなので、この時はねこ娘が途中で切り上げさせた。
  7. ^ 避難しつつ協力した枕返しは自分の身を守ることに精一杯の状態であったため、その姿を確認したかは定かになっていない。
  8. ^ 本作では鬼太郎も目玉おやじの元の体について、どんな容姿だったかは14話まで聞かされておらず、仲間の妖怪たちは鬼太郎が生まれる何百年も前から目玉おやじと旧知の仲なので、砂かけばばあをはじめ大半の者が当時の姿を知っているが、鬼太郎と同世代のねこ娘は、単に見たことが無いだけでなく目玉おやじに昔は元々の体が存在していた事すら14話で聞かされるまで知らなかった。
  9. ^ それでも現代の放送倫理を考慮し、原作よりは抑えた表現になっている。例、貸本版「あいつは二回も脳まくえんやってんだから」→マガジン版「あいつぁ頭がおかしいんだ」→墓場アニメ版「あいつぁおつむがモケケのケだ」等。
  10. ^ 島田は子泣きじじいとぬりかべの二役を改めて担当することとなった。
  11. ^ クレジットは「田の中勇」と表記され、大竹の名前はゲストに表記されている。

出典

  1. ^ 水木しげる『鬼太郎国盗り物語(1)』 角川書店角川文庫〉 2007年、119頁。ISBN 4-041-92920-2
  2. ^ フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 1』講談社、2003年。 
  3. ^ 小学館『鬼太郎大百科』で水木しげるが描き下ろした体内図解イラストや鬼太郎茶屋にあるキャラクター紹介パネルより。
  4. ^ 水木しげる 『水木しげる 鬼太郎大百科』 小学館、2004年、58頁。ISBN 4-092-20322-5
  5. ^ 『水木しげる 鬼太郎大百科』 36頁。
  6. ^ ライブドアニュース、2005年5月27日0時4分「ファンキー通信」”. 2016年10月26日閲覧。
  7. ^ 水木しげる 『電子書籍番 鬼太郎大全集 14』 水木プロダクション、94頁。
  8. ^ 『電子書籍番 鬼太郎大全集 14』 247頁。
  9. ^ 『水木しげる 鬼太郎大百科』 39頁。
  10. ^ a b c d e ゲゲゲの鬼太郎 DVD-BOX1 2007TVシリーズ SPECIAL BOOKLET 11ページ
  11. ^ a b c d e f g h i j k 田神健一・奥津圭介・中村亜津沙編 『アニメ版 ゲゲゲの鬼太郎 完全読本』 講談社、2006年、16-17頁。ISBN 4-062-13742-9
  12. ^ 第6期2話
  13. ^ アニメ6期13話
  14. ^ a b 新作「ゲゲゲの鬼太郎」“二代目”目玉おやじ役に野沢雅子 アニメ化50周年記念,デイリースポーツ,2018年1月19日
  15. ^ ゲゲゲかわら版”. 『ゲゲゲの鬼太郎』のスタッフによる公式ブログ. 東映アニメーション. 2013年8月31日閲覧。
  16. ^ 『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』ジバニャン役に黒田崇矢さん、ねずみ男役に大塚明夫さん決定! 待望の本予告映像が解禁- アニメイトタイムズ(株式会社アニメイトラボ)” (2017年10月27日). 2017年10月27日閲覧。
  17. ^ “「「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」鬼太郎の父役に関俊彦!キャスト14人発表、不穏な予告編も”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年9月6日). https://natalie.mu/comic/news/539793 2023年9月6日閲覧。 
  18. ^ 『アサヒグラフ別冊 美術特集 西洋編7 ルドン』、朝日新聞社


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