爪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 07:15 UTC 版)
爪の手入れ
伸びすぎると怪我や爪が割れやすくなるため、爪切りで短く整える。ただし、皮膚の近くからその先まで切ってしまうと深爪という怪我をした状態となる。
爪を手入れする目的で、爪に塗る油・クリーム・マニキュアなど、爪の化粧品が各種存在する。また、爪洗浄ブラシ、甘皮押し、爪切りおよび爪やすり等の道具で爪の形状を整える。
美容文化としての爪
古代エジプトの時代からマニキュアが行われていた。足に行うマニュキュアをペディキュアという。
20世紀後半から、アメリカからの美容の流行で女性向けの装飾目的の人工爪が世界的に広まっている。これは爪の本来の機能の代用ではなく、自然の爪の拡張となる物である。その方法には、自爪の上にフォームを形成し、ネイルチップ(付け爪)を貼り付ける2つの主な段階がある。フォームにはアクリル系接着剤や、紫外線硬化型の接着剤が用いられる。また、簡単に自爪に接着できる柔軟性がある安価な樹脂製のチップもある。人工爪は、様々な色彩の製品があり、光沢等の効果を表現する事も可能である。
上記の人工爪による装飾や美容技術は「ネイルアート」と総称されている。人工爪ではなく、マニキュア等の化粧品で自爪に塗装をする事も「ネイルアート」と呼ばれる。顧客の爪にネイルアートの施術を行う美容の職業はネイリスト、店舗はネイルサロンと呼ばれ、ネイリストは爪への基本的な手入れも施す(爪の手入れに付いては下記に述べる)。ネイルサロンではネイリストが従業員として雇われる他、ネイリストがサロンの主宰や開業を行う例もある。
1998年頃から、爪に絵柄を施すネイルアートが日本では定着している。幾つかの女性向けファッション雑誌では季節毎にネイルアート特集の美容記事が掲載される事がある。人気を博すネイリストやネイルサロン、専属モデルや読者モデルがネイルアートの紹介をする他、ネイリスト自身が誌面に登場する事もある。
2003年に、爪に高解像度の印刷を行うインクジェットプリンター機のNailJet Proが発売された。アジアの幾つかの地域では、更に大きなネイルアートプリンタが若者の集まる場所に設置されている。
手先を気遣う職業の手品師や歯科医師、ギタリスト等の男性が爪の手入れにネイルサロンを訪れる事例も最近は見られ、顧客の裾野を拡げている。また、世界的に有名なサッカー選手のベッカムがサロンで爪を短く整え塗装している事を報じられ、将来的には男性の装いとして発展する可能性も窺える(この例ではないが爪に関連する事柄には、アジアでは土俗的に高齢男性が手の小指の爪を伸ばす事がある。また、ギター奏者もギターの弦に合わせて爪を伸ばす)。
文化
- 風習
- 夜に爪を切る
- 日本では、『夜に爪を切ると親の死に目に会えない』という有名な迷信(俗信)がある。「夜爪」は「世を詰める」に通じるところから忌避されたとの説のほか、夜に爪を切ると暗くて怪我しやすいからなどの諸説があり、はっきりとしていない。
- 日本の昔の民家では夜の明かりは火なので、囲炉裏端などで爪を切ると、切った爪が火に飛び込んで燃える臭いが火葬を連想させたために忌んだという説もある。
- 人日、七草爪、1月7日
- 新年になって初めて爪を切る日
- 爪に関連することわざ・慣用句
- (能ある鷹は)爪を隠す - 才能をひけらかさない。
- 上手の鷹が爪を隠す - 上に同じ。
- 能ある猫は爪を隠す - 上に同じ。
- 瓜に爪あり爪に爪なし - 字形の違いを説明した語。
- 爪に火を灯す - 極端な倹約。
- 爪の垢ほど - 極めて量の少ないことの喩え。
- 爪で拾って箕(み)で零(こぼ)す - 苦労して蓄えた物を一度に浪費する。
- 爪の垢を煎じて飲む - 優れた人にあやかる。
- 苦髪楽爪(くがみらくづめ) - 苦労すると髪が、楽をすると爪が早く伸びる。
- 苦爪楽髪(くづめらくはつ) - 苦労しているときは爪が、楽をしているときは髪が早く伸びる。苦髪楽爪の逆。
- 爪が伸びる - 欲が深いこと。
- 爪の長い - 上に同じ。
- 爪を研ぐ - 準備する。
- 小爪を拾う - 言葉尻をとらえる。
- 鹿爪(しかつめ)らしい - もっともらしい。
- 一文銭で生爪剥がす- わずかな利益のために爪を剥がすことも厭わない。大変な倹約家のたとえ。
- 派生的表現
爪のような形状の道具や機械部品も爪と呼ばれることがある。
- 箏爪 - 箏の演奏に用いられる。
- 雁爪 - 農作業で草取りの際に用いられる道具。
- 耕耘爪 - トラクターや耕耘機で耕耘の際に用いられる機械部品。
- 植付爪 - 田植機で田植えの際に用いられる機械部品。
- 爪 - CD、DVD - ケース内のディスクを固定する突起を「爪」、ディスクの孔を「中心孔」という。また、カセットテープ・ビデオテープを上書き記録ができない様にする突起も「爪」といい、その突起を折る行為を「爪を折る」という。
- アイアンクロー - 鉄の爪、フリッツ・フォン・エリックの必殺技。
- 鷹の爪 - トウガラシの一種(名称は外観に由来)。唐辛子#名称も参照。
- 爪楊枝
- 英語
- 英語では釘も意味する Nail という単語が使われる。そのほかに、捕まえるという意味だったり、うまくやった、打撃するなどの動詞でも使われるが、釘からのイメージの物が多い。また人名でも使われるネイル (名)、ネイル (姓)の先祖も、大工だったり釘を売っていた人、釘製造業から来ている[5][6]。
- 古英語では、釘はnegel、爪の方はnæglで元は別々に使い分けていた。
- ^ a b 眠れなくなるほど面白い 図解 解剖学の話 著:坂井建雄 p.22
- ^ 2012年5月29日放送のTBS『ひるおび!』で森田豊が行った解説より。“ひるおび! 2012/05/29(火)11:00 の放送内容 ページ4”. TVでた蔵. 2020年6月24日閲覧。
- ^ http://www.aafp.org/afp/20040315/1417.html
- ^ この爪の溝、異常ですか? 日経メディカル 著:佐藤俊次 更新日:2019/12/02
- ^ Nail History, Family Crest & Coats of Arms サイト:houseofnames.com
- ^ Nail Surname Database
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