常盤新平 常盤新平の概要

常盤新平

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/12 07:43 UTC 版)

常盤 新平
(ときわ しんぺい)
ペンネーム 大原 寿人
誕生 (1931-03-01) 1931年3月1日
日本岩手県
水沢市(現・奥州市
死没 (2013-01-22) 2013年1月22日(81歳没)
日本東京都町田市
職業 小説家、翻訳家
言語 日本語
国籍 日本
最終学歴 早稲田大学大学院
活動期間 (創作、エッセイ)1960年代 - 2013年
(翻訳)1950年代 - 2013年
ジャンル 小説、翻訳、エッセイ
代表作 『遠いアメリカ』(1986年)
主な受賞歴 直木三十五賞(1987年)
配偶者 あり
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来歴

岩手県水沢市(現・奥州市)生まれ。母親は福島県の出身[1]。税務署員だった父親の転勤に伴って生後半年で水沢を離れ、山形県長井町、宮城県石巻市と転居した[2]。小学校時代に仙台市に落ち着き、高校卒業までを同地で過ごした[2]宮城県仙台第二高等学校を経て、早稲田大学第一文学部英文科卒。同大学院修了。

編集者として

常盤が編集長とした関わった時代の『HAYAKAWA'S ミステリ・マガジン』。写真は1966年3月号。

早川書房に入社。1961年には新雑誌「ホリディ」の編集長になるが1号のみの発行となる。都筑道夫生島治郎の後任として、ミステリー小説誌 『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』(日本版)の三代目編集長を、1963年(昭和38年)から6年間務めた。ただし、常盤はミステリはそれほど好きではなかったので、デイモン・ラニアンリング・ラードナーら、雑誌「ニューヨーカー」系のユーモア小説なども、よく掲載していた。また星新一のアメリカの一コマ漫画紹介エッセイ「進化した猿たち」を連載させた。

また、その間の1964年(昭和39年)には、海外の文学作品や、スパイ小説、冒険小説などを紹介するシリーズ「ハカヤワ・ノヴェルズ」を創刊し、その最初の作としてジョン・ル・カレの「寒い国から帰ってきたスパイ」を刊行。以降も話題作を紹介し、人気シリーズとした(現在は、大半の作品が「ハヤカワ文庫NV」に収録されている)。1969年(昭和44年)、『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』誌の編集長を各務三郎に譲り、その後は早川書房の「SF以外のすべての分野の編集局長」となるが、社内抗争のため、同年に退社した[3]

文筆家として

早川書房を退社してフリーの文筆生活へ。アメリカの雑誌「ニューヨーカー」の黄金時代の作品や、20世紀の文学ニュー・ジャーナリズムの作品を翻訳して日本に紹介する翻訳家、そしてアメリカの雑誌や人物を紹介するエッセイスト、さらに作家として知られるようになった。

1979年(昭和54年)から川本三郎青山南とともに編集委員として『ハッピーエンド通信』を刊行。

1986年(昭和61年)には、アメリカにあこがれペーパーバックを読みあさり、翻訳の勉強にいそしむ大学院時代の自身を描いた自伝的小説、『遠いアメリカ』が、第96回直木賞を受賞した。

2013年(平成25年)1月22日、肺炎のため東京都町田市の病院で死去[4]。81歳没。

人物

  • 作家、山口瞳を師とあおぎ、山口の著作からセレクトした本を刊行している。
  • 競馬好きとしても知られ、競馬についてのアンソロジーを編んでいる。さらに、将棋好きでもあり、将棋を愛する作家、ジャーナリスト、観戦記者たちの団体「将棋ペンクラブ」が与える賞、「将棋ペンクラブ大賞」の選考委員を1996年から2005年までつとめた。
  • 一度の離婚を経て、再婚し[5]、東京都町田市つくし野に暮らした[5][6]
  • 1997年1月30日、藤岡信勝西尾幹二らによって「新しい歴史教科書をつくる会」が設立されると[7][8]、各界著名人が賛意を表し、同年6月6日時点の賛同者は204人を数えた。常盤もその中に名を連ねた[9]

  1. ^ 松井清人『オカン、おふくろ、お母さん』 文藝春秋2006年、122-123頁
  2. ^ a b https://web.archive.org/web/20080416012523/http://www.netcity.or.jp/michinoku/hometown/tokiwa/index.html
  3. ^ 『はじめて話すけど…―小森収インタビュー集』(フリースタイル)中の各務三郎インタビュー。宮田昇『戦後「翻訳」風雲録 <翻訳者が神々だった時代>』(本の雑誌社)
  4. ^ 作家で翻訳家の常盤新平さん死去 スポニチ 2013年1月22日閲覧
  5. ^ a b https://web.archive.org/web/20130911082444/http://www.slownet.ne.jp/sns/area/life/reading/interview/200602161352-1000000.html
  6. ^ [1]
  7. ^ 貝裕珍. “「新しい歴史教科書をつくる会」のExit, Voice, Loyalty” (PDF). 東京大学大学院総合文化研究科・教養学部. 2022年6月13日閲覧。
  8. ^ 斉加尚代『教育と愛国―誰が教室を窒息させるのか』岩波書店、2019年5月30日、22-23頁。 
  9. ^ 「同会賛同者名簿(一九九七年六月六日現在)」 『西尾幹二全集 第17巻』国書刊行会、2018年12月25日。


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