大阪タワー スタジオの役割を終えて

大阪タワー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/22 04:26 UTC 版)

スタジオの役割を終えて

前述した通り、大阪タワーは入場者が年々減少してきた事に加えて、1994年12月の日本テレビでの郵便爆弾事件などのアクシデントから、放送局への部外者の立ち入り規制が一段と強化された事も追い打ちをかけた。そのため、大阪タワーの一般客開放は1998年9月で終了。その後、展望台部分にはABCロゴのネオンサイン表示を設置した。また、1999年3月には会社組織としての「大阪タワー株式会社」も解散されている。

テレビのスカイスタジオは2001年9月末まで運用され、その後は2004年までは総務省の外郭団体通信・放送機構(TAO)が使用し、「通信放送融合テストベッド事業」の一環で、デジタル化時代に向けた、放送と通信の融合を見据えた番組制作の実験施設として使われた。

2008年にABCが大阪市福島区の新社屋に移転し、電波塔としての機能を終了。終了後は、同じく閉鎖されているホテルプラザと共に解体され、跡地は商業施設か住宅施設になる方針である。なお、現社屋に移転してからは、本社の屋上に設置されている鉄塔から番組の送信を行っている。

解体工事は、2009年9月7日から竹中工務店により行われた。この工事では、鉄塔を下部から解体する工法(「竹中グリップダウン工法」と呼ばれる。通称ダルマ落とし工法)を国内で初めて採用した[3][4]。この解体工事は2010年初めまで行われた。

その他

急遽建設が決まったタワー

ABCの旧社屋と同時に完成した大阪タワーだったが、当初の予定ではテレビの送信塔は、社屋ビルの屋上に突き出たものが考えられており、基本構想もそのようなものが発表されていた。

しかし、同局の技術部門は「将来の大阪市内のビル高層化を考えると、少なくとも110メートル以上の高さのテレビ塔が必要である」と力説。さらに、局員の中では「通天閣をしのぐ、大阪の新名所を造るべきだ」との意見もあった。

それらを受けて本社屋の設計を変更する事になったが、社屋ビルの上にそれだけの高さのテレビ塔を建設する事が不可能と判明した。このため社屋の南側に大阪タワーを建設することになった。こうした問題からも用地確保は難しく、真四角型のタワーとなった。

阪神・淡路大震災と大阪タワー

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災。発生時刻の午前5時46分は、当時スカイスタジオから放送していた情報番組「おはよう天気です」の生放送開始直後であった。しかしこの時期、大阪タワーはエレベーターの更新・改修工事の期間だったことでスカイスタジオも使えなかったため、同番組も本社のAスタジオから放送していた。

このため「地上102mの展望台で、生放送の番組が巨大地震に遭遇する」という最悪の事態は回避することができた。

過去にもあった取り壊し案

1991年、ABCは社屋用地の再開発試案を発表した。その際に、用地の北側にある公園(通称:ABC公園)部分に、22階建て規模の本社機能のある社屋を建設する他、公園などの施設を整備。さらに大阪タワーを取り壊し、跡地に15階建て前後のビルを建設。多目的ホールやアスレチックジム、美術館などが入居した文化ゾーンにするといった構想であった。

これらは1995年を目処に着工し、第一期は1997年、第二期は1998年、そして第三期は2000年に完成させる予定だったが、資金問題(ホテルプラザの閉鎖なども関係した)やデジタル放送の準備などもあり、新社屋の計画は白紙となる。2004年に改めて大阪市福島区福島一丁目の大阪大学医学部付属病院跡地に完成する再開発計画地域(後のほたるまち)に移転する計画が発表された。新社屋からの放送は2008年6月23日に始まった。

マスメディアでの紹介

  • 探偵!ナイトスクープ」(2006年3月17日放送分)でも当タワーが紹介され、大阪タワー展望台に登りたかった依頼者と探偵である桂小枝が通常、一般には利用しない階段で昇り、展望台内部とスカイスタジオの内部が紹介されていた。
  • ABCが新社屋から放送を開始した、2008年6月23日付のスポーツニッポン(大阪版)紙面において、当タワーを「さよなら大阪タワー…“現役引退”役割終え解体へ」の見出しで紹介された。乾・元アナウンサーがインタビューに応じ、「夏は暑く、冬は寒い。エレベータのドアが凍り付いて、階段でスタジオに昇ったこともあった」と証言していた。

施設概要


  1. ^ 大阪タワーに日本一のネオンサイン完成 - 日産自動車ニュースルーム
  2. ^ a b これらは、当時のABCがTBSとネットを結んでいたからこそ実現していたことである。1975年4月にネット形態の見直し(新聞社との業務提携の食い違い、いわゆる腸捻転の解消)のために朝日放送は毎日放送ネットチェンジし、現在はテレビ朝日(腸捻転解消当時はNETテレビ)とネットしている。
  3. ^ 同様に高層建築物を下部から解体する工法としては、鹿島建設が「鹿島カットアンドダウン工法」として実用化しており、2008年に鹿島建設旧本社ビル(東京都港区元赤坂)の解体工事に用いている。
  4. ^ 大阪タワーの解体映像は「みのもんたの朝ズバッ!」(TBSテレビ、2011年1月5日放送)で、閉鎖が予定されているグランドプリンスホテル赤坂解体の可能性を取り上げたニュースにおいて、竹中工務店の高層建築物解体の実績として紹介された。TBS系の番組であるので、当然の事ながら関西地区では腸捻転解消後の毎日放送でネットされた。






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