ユーカリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/26 08:46 UTC 版)
ユーカリ属 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ユーカリ(Eucalyptus globulus)
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分類(APG IV) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Eucalyptus L'Hér. [1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
タイプ種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Eucalyptus obliqua [1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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自生地
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和名のユーカリは、属名の英語読み「ユーカリプタス」を短縮したもの。学名の語源は eu-(真に・強く・良く)+ kalyptós(…で覆った)、つまり「良い蓋」を意味するギリシア語をラテン語化したもの。蕾のがくと花弁が合着して蓋状となること、あるいは乾燥地でもよく育って大地を緑で被うことに由来して命名されたとされる。漢語では「桉樹」と書く。
なお、Corymbia、Angophora 等の近縁の数属もユーカリと共に扱われることがある[3]。
多くがオーストラリアに分布するが、世界各地で移植・栽培されている(参照: 利用)。コアラの食物としてもよく知られている(参照: #コアラの食料)。
特徴と分布
2000年までの段階では400 - 500種が知られており、そのほとんどがタスマニア州含めオーストラリア全域に分布するものとされたが、すぐ北のニューギニアやマレー群島区系に生育するものもわずかながら存在し、カメレレ(Eucalyptus deglupta)のようにむしろオーストラリアでは一切自然分布が確認されていない種も存在する[4]。成長がとても早く、材木として注目される。70メートルを超える高さになるものから、5メートル程で枝分かれする種類もある。
オーストラリアという隔離された地域において著しい数の
- 樹皮は長い紐状に剥がれ、滑らかな木肌のものが多い[5]。
- 葉は幼木の時は幅が広く、しばしば無柄で対生であるが、成木になると細長い披針形になることが多く、有柄かつ互生に変化する[5]。表面も裏面も青灰色で、精油分を含んでいるため透かすと油点の散在が見られ、揉むと芳香がする。
- 花の
蕾 ()は萼筒が倒円錐形か鐘形であり、萼片と花弁の合着した蓋(英: operculum)が存在するが、この蓋は開花の際に脱落する。雄蕊 ()は多数存在する。 - 果実は蒴果で多数の小さな種子が含まれる。
ユーカリは、根を非常に深くまで伸ばし地下水を吸い上げる力が強いので、成長が早い。インド北部のパンジャーブ地方の砂漠化した地域の緑化に使われて、成功した。
オーストラリアでは自然発火による山火事が多いが、ユーカリがその一因である。ユーカリの葉はテルペンを放出するが、気温が高いとその量が多くなるので、夏期にはユーカリ林のテルペン濃度はかなり上昇する。テルペンは引火性であるため、何かの原因で発火した場合、燃え広がり山火事になるのである[6]。樹皮が非常に燃えやすく、火がつくと幹から剥がれ落ちるので、幹の内側は燃えずに守られる[7]。根に栄養をたくわえており、火事の後も成長し続けることができ、新しい芽をつけることもできる[7]。
樹幹上にキノと呼ばれる赤褐色の樹脂状物質を出すことが多い[4]。
オーストラリアに見られるユーカリ類の林は、雨量と気温の観点から次の3つの型に分けることが可能である[4]。
- 湿潤ユーカリ林 …… 南東部および南西端部の年間雨量750-1000ミリメートルの地域に発達し、密生した高木性のユーカリ林を形成する。この型の林では樹高が数10メートルにまで及ぶ種も多く、特にセイタカユーカリ(Eucalyptus regnans)は広葉樹としては世界最高の樹高97メートル、直径7.5メートルのものが記録されている。
- 乾燥ユーカリ林 …… 年間雨量500-750ミリメートル(南部)あるいは750-1500ミリメートルの地域に成立し、高木のユーカリ類を主体とするまばらな林(疎林)を形成する。
- マリ(mallee)…… 南部の年間雨量250-500ミリメートルの範囲に成立し、低木のユーカリ類がやや散生的に生育する
叢林 ()を形成する。
発芽方法
オーストラリアの気候は乾燥しており、山火事が頻繁に起こる。ユーカリの種は、山火事を経験した後の降雨により発芽すると言われている。人工的にこの条件を満たすには、フライパンで種をさっと煎ったり、熱湯をかけたり、用土を燻煙処理したりする。ただし特別な処理を行なわなくても発芽する種類がほとんどである。
注釈
- ^ その標本はロンドン自然史博物館に所蔵されている(BM000081839)。
出典
- ^ a b Eucalyptus Tropicos
- ^ 松山亮蔵「ゆーかり」『植物界之智嚢』中興館書店〈新国民理学叢書 ; 第1編〉、1926年、223頁。NDLJP:979066。
- ^ a b c d e Slee, A.V.; Brooker, M.I.H.; Duffy, S.M.; West, J.G. (2020). “Lean about eucalypts”. EUCLID: Eucalypts of Australia (4th ed.) 2022年10月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 緒方 (2000).
- ^ a b 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 123
- ^ 自然発火の仕組み | みんなのひろば | 日本植物生理学会
- ^ a b すごい自然のショールーム 火事と共に生きるユーカリ ネイチャーテック研究会, 東北大学大学院 環境科学研究科
- ^ a b c d 貴島, 岡本 & 林 (1977).
- ^ Flora of Australia 19: 511 (1988)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah 熱帯植物研究会, ed (1996). “フトモモ科 MYRTACEAE”. 熱帯植物要覧 (第4版 ed.). 養賢堂. pp. 336–342. ISBN 4-924395-03-X
- ^ Chippendale (1988:447).
- ^ Record: BRI AQ0117784 | Occurrence record (The Australian Virtual Herbarium). 2022年10月5日閲覧。
- ^ Record: CANB 265201.1 | Occurrence record (The Australian Virtual Herbarium). 2022年10月5日閲覧。
- ^ Record: CANB 411643.1 | Occurrence record (The Australian Virtual Herbarium). 2022年10月5日閲覧。
- ^ Record: BRI AQ0095474 | Occurrence record (The Australian Virtual Herbarium). 2022年10月5日閲覧。
- ^ Record: CANB 411646.1 | Occurrence record (The Australian Virtual Herbarium). 2022年10月5日閲覧。
- ^ Record: MEL 1607060A | Occurrence record (The Australian Virtual Herbarium). 2022年10月5日閲覧。
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- ^ a b c Eucalyptus University of Maryland Medical Center
- ^ ユーカリ栽培広がる/色・形 鑑賞用で人気『日本経済新聞』夕刊2018年1月17日(社会面)
- ^ アマゾンで植林・チップ生産輸出事業に取り組む 日本ブラジル中央協会 2017年12月16日閲覧
- ^ a b c d マリア・リス・バルチン 著 『アロマセラピーサイエンス』 田邉和子 松村康生 監訳、フレグランスジャーナル社、2011年
- ^ 母親コアラの食性に準ずる
- ^ ユーカリのうた:コアラ来日25周年 毎日新聞 2009年10月21日 地方版
- ^ コアラの飼育 油家謙二 天王寺動物園
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